安倍総理が英国のフィナンシャル・タイムズ紙に再エネ普及の呼びかけを投稿したと、今日の日経と毎日新聞が報道しています。日本でこの4年間に太陽光など再エネによる発電量が2.5倍に増えたことも安倍総理は紹介しているそうです。これまで安倍総理は化石燃料の使用削減のためには原発再稼働を優先する姿勢でしたが、再エネを重視し始めたことは喜ばしいことです。

 

また今日の日経新聞一面には「北海道地震が問う危機:再エネ、なぜ生かせず?」の記事が掲載されています。送電網の整備の遅れで、再エネによる発電が送電できない状況が1週間続いたことを詳しく説明しています。

 

従来、原発再稼働を優先すべきとしてきた産経や日経の論調が再エネの可能性を認める方向に転換してきました。経産省も再エネを「主力電源」と位置づけるようになりました。しかしそのための送電網の整備を、福島原発事故以降も各電力会社が怠ってきたために、再エネを十分生かせていません。送電網を9電力が独占している弊害が表れています。徹底した発送電分離を急ぐ必要があります。そうすれば再エネ100%の電力会社も十分成り立ちます。

 

再エネはエネルギー密度が低いため、同じ量の電力を発電するために広い土地が必要となります。つまり広い土地が低価格で利用できる農村地域に再エネは向いていることを意味します。特に、畑や水田で農業を継続しながら同時に発電事業を行うソーラー・シェアリングが全国的に普及し始めています。農業とエネルギー事業の兼業です。私の知る限り、農地を所有している人が始めたソーラー・シェアリング事業で、失敗した例は聞きません。都会で働くのと同等ないしそれ以上の収入が得られています。

 

300年前までは都市のエネルギーは農村からの薪や炭の形で供給されていたのです。新しい再エネの技術を使って農村から都市へのエネルギー供給が再び可能となり、農村地域の再生の大きな原動力となってきました。私は農水省関係者に会うごとに「農水省こそエネルギー自給を進める役所になるべき」とはっぱをかけています。