立憲民主党と国民民主党は、自民党に対抗するためには一緒になるべきだと主張する人が、連合関係者を中心にかなりおられることは私も十分知っています。確かに立憲民主党と国民民主党の多くのメンバーは民主党、民進党で同じ政党に籍を置いた仲間ですから、政策的には多くの点で共通しています。しかし、両党は重要な政策で大きな相違があります。それは原発ゼロか原発容認かという点です。そしてそのことは原発ゼロが圧倒的な草の根の声を重視するのか、それとも原子力ムラの影響を受けている連合の一部の声を重視するのかの違いです。

 

昨年初め、民進党の蓮舫代表は「原発ゼロ基本法」を総選挙までにまとめて提案するように指示しました。しかし、電力総連出身議員や原発メーカ関連の労組出身議員は党内議論の場で徹底的に抵抗し、10月の解散までには民進党は「原発ゼロ基本法」をまとめることができず、国会に法案を提出できませんでした。

 

解散後、総選挙の直前に誕生した立憲民主党は総選挙公約で、原発は再稼働させないで順次廃炉にするという「原発ゼロ」を公約に掲げました。そして総選挙後の今年3月9日に、「原発ゼロ基本法」をいくつかの野党と共に国会に提案しました。しかしこの時点でも電力総連や原発メーカ企業の労組出身の議員を抱える国民民主党は、原発ゼロを党の方針とできず、「原発ゼロ基本法」の提案者にはなりませんでした。このように立憲民主党と国民民主党とは原発ゼロか原発容認かで政策がはっきりと違っています。立憲民主党が永田町での合流話に距離を置いているのは、政党が合同することで主張があいまいになることを恐れているからです。その象徴が原発政策です。

 

今や原発と化石燃料から再エネへのエネルギー転換は世界の流れであり、自民党内でも本音では原発ゼロに賛成している議員が目立ってきました。国民民主党の中でも相当数の議員は即時原発ゼロに賛成です。連合の関係者の多くも「電力が足りるのなら原発はないほうがいい」と言っています。東電の新社長も原発から再エネへの転換を示唆する発言をしています。

 

国民民主党の関係者も原子力ムラからの圧力をはねのけ、自らの信念で行動してほしいと思います。