東電は、福島原発事故で避難を余儀なくされた住民による賠償請求に関する裁判外紛争解決手続き(ADR)の和解案を、拒否しました。裁判では時間がかかり、被害者にとって救済が間に合わないので 、迅速な救済のためにADR制度が設けられたのに、その和解案を東電が拒否することが許されるのか。多くの被害者や弁護士さんが国会にも来られて、私も話を聞いています。

 

関係する省庁の担当者は東電に和解案を尊重するように要請しているといった言い方をしています。しかし現在、国の機関である「原子力損害賠償・廃炉支援機構」が東電株の50%以上持っており、東電は事実上国営化された状態にあります。政府が東電に和解を受諾すべきと言えば従うはずです。それを、民間企業だからと言って政府自体が責任をあいまいにしているのは納得できません。

 

東電は巨額の財政支援を国から受けて事故処理に当たる一方、東電以外の原発関連事業に出資することまで検討しています。事故発生直後においても東電は国有化すべきという意見がありました。しかし、その時点では迅速な事故処理体制を維持するために、東電の国有化はしませんでした。

 

しかし現在、東電と国との責任分担があいまいなまなことが被害者に対する救済の遅れや、原子力関連事業への出資など、不明朗な多くの事柄の原因となってきており、はっきりと東電を国営化し、全てを国と国営化した東電と一体となって対応する体制にすることも検討すべきです。そうすれば、国会も国営化した東電に対し直接監視ができるからです。