今日、公共事業チェックの会の総会に出席しました。「諫早湾の開門調査の必要性」というテーマで「有明海漁民・市民ネットワーク」から話を聞き、同時に農水省からも説明を受けました。

 

私はこの問題には、20年前の「ギロチン」と呼ばれた潮受け堤防の閉め切り当時からか関わり、何度も現地に足を運びました。農林省は最後の国営干拓事業として強引に工事を進め、10年前に工事は完了しました。しかしその後、調整池に長時間ためられて水質の悪くなった水を有明海に放出することによる漁業被害が問題となり、開門調査が求められてきました。2010年、私が総理の時に福岡高裁で開門調査を命じる判決が下され、私は開門調査は行うべきと考え、内閣として上告をせず判決は確定しました。しかし農水省は実行しませんでした。

 

今日の総会では、現在の有明海の状況について現地を調査している研究グループから詳しい報告を受けました。調整池で長時間溜められ水質が悪化した水の恒常的な放出により有明海に大きな環境被害が出ているという、衝撃的な報告でした。この状態が続けば、食物連鎖による人体への影響も心配されるという内容でした。私は海洋汚染によって発生した水俣病を思い浮かべました。

 

もともと食糧増産の掛け声で始まった諫早湾干拓計画を、コメ余りがはっきりした後にも変更しなかったのは、公共事業による関係業界の利益を考えてのことです。巨額の予算を投じて行われた公共事業が国民の利益につながらず、逆に環境破壊が心配される事態を招いていることは重大です。