今日の新聞各紙の朝刊に、日立製作所の社長が英国での原発建設に日本政府の支援を求めているという記事が出ています。日立は福島原発事故後、英国の電力会社を買収し、その電力会社に日立が原発を建設する計画を進めています。私は2年前、建設予定の町を訪れ、地元議会や地元関係者の話を聞きました。

 

福島原発事故以降原発の建設コストが高騰し、世界的に採算が合わなくなっています。東芝が米国での原発建設で巨額の損失を生じたことは周知のことです。日立も原発建設を強行すれば、その二の舞になる可能性が高いとみられています。そこで日立は建設資金が返済できなかった場合に備えて、日本政府に政府系金融機関を使って保証をするように求めています。英国のような先進国への民間企業の投資に日本政府が保証するということは通常あり得ません。その上、福島原発事故の責任について裁判が継続しており、廃炉など事故処理のめども立っていないのに、福島第一原発建設の中心企業である日立が外国で原発を建設しようということが倫理的に認められるのかという問題があります。

 

福島原発事故では最悪の場合、250キロ圏内に住む東京を含む東日本から5000万人が長期間避難しなければなる瀬戸際でした。そうなっていたら、日本は壊滅的状況になっていました。いまだに「原発は基幹電源」と安倍総理も日立の社長も言っていますが、原発を使うかどうかを判断するのは最終的には国民です。自民党を除くすべての主要政党は「原発ゼロ」を公約に掲げています。次期国政選挙では原発を基幹電源として使い続けるのか、一日も早く原発ゼロを実現するのかを最大争点にした選挙を行い、決着をつけるべきです。