ドイツには強力な「緑の党」がある。福島原発事故の直後、ドイツ緑の党の支持率が急上昇し、メルケル首相が脱原発にかじを切る大きな原因になったと言われている。つまり、ドイツ緑の党は単独で政権をめざす政党とは言えないが、他党との連立などで、原発問題など環境政策に大きな影響力を持っている。

 

日本でも環境重視のテーマ型の政党「ワンイシュー・パーテイ」がこれまで何度か試みられたが、大きな影響力を持つに至っていない。その最大の理由は選挙制度にある。ドイツ下院は「小選挙区比例代表併用制」で、議席数は全国の得票率に比例して決まる。つまり小選挙区で議席が得られなくても、全国で5%以上の票が得られればその割合の議席が得られる仕組み。

 

現在、民進党代表選においても自民党に対抗し政権交代をめざす野党の政界再編が注目されている。民進党として政権交代をめざすことは当然だが、民進党内にも自民党顔負けの強力な原子力ムラ出身議員グループがあり、そのために民進党の脱原発政策が曖昧になり、脱原発を国政選挙で最大の争点にできないという状況が続いている。

 

原発問題は他の保守、革新といったイデオロギー的テーマと違い、保守的とされる多くの宗教団体も脱原発を掲げている。脱原発の実現には、従来的な政治の枠組みを超えたテーマ型の政治的結集が必要ではなかろうか。