政府の総合資源エネルギー調査会の資料に、「非化石価値取引市場を創設」という言葉があり、注目している。政府は「原発」と「自然エネルギー」をひとくくりにして「非化石エネルギー」という言葉で表しているが、まずCO2も放射能も出さない自然エネルギーだけを扱う「自然エネルギー価値取引市場」を創設することが望ましい。

 

自然エネルギー100%の電力を適正な値段で供給してくれる新電力があれば、そこから電力を購入したいと思っている国民は多いはずだ。しかし現状では水力を除く自然エネルギー電力は全体の3%程度で供給量が限られており、自然エネルギー100%の新電力事業は成立していない。

 

しかし水力が活用できれば話は変わる。現在旧電力や都道府県などが所有する水力発電所全体の電力供給量は全体の10%に達している。そこで現在、旧電力や都道府県が所有する水力発電所の電力を原発や火力発電と区別して「自然エネルギー電力」として卸売市場に卸すことにすれば状況は大きく変わるはずだ。つまりは「自然エネルギー価値取引市場」を創設することだ。

 

私が水力の活用を思いついたのはドイツのシェーナウ電力から「脱原発勇敢賞」を受けた時だ。シェーナウ電力はチェルノブイリ事故をきっかけに生まれたドイツの市民電力会社で、自然エネルギー100%の電力を供給している。その自然エネルギーの大部分は当面ノールウエイの水力発電所から卸してもらっている。日本でも東京都の水力発電所の電力は競争入札により、新電力の一つに売却されている。

 

 

新電力事業にはある程度の資本と技術力が必要だ。志ある人やベンチャー企業にはぜひ自然エネルギー100%の電力供給事業を起こしてほしい。私自身、時間と資金があれば取り組みたい事業だ。