都知事選で何が一番問われるのか。増田氏は「行政能力」という。しかし、その前に政治理念とビジョンが重要だ。かつて美濃部都知事は、知事になるまでは学者で行政経験はなかったが、福祉政策と都民参加のビジョンを持って都政を進めた。

  今回の3人の有力候補の中で、過去の自公中心の都政を都民の立場から見直せるのは鳥越さんしかいない。例えば、増田候補がオリンピックの見直しを言っても、自公に丸抱えの選挙で当選すれば自公の案を引き継ぐしかない。小池候補も最初はジャーナリストであったが、日本新党、新進党、自由党、保守党、そして自民党と渡り歩き、今や自民党内でもタカ派とみなされている政治家。その政治行動に一貫した政治理念は感じられない。

 リベラルな政治理念を持つ鳥越さん、自民党に入ってタカ派に変貌した小池さん、一極集中批判の官僚政治家増田さん、それぞれの政治理念が問われる。