福島原発事故以来、東電をいろいろな面から見てきて、他の企業には見られない特殊な体質が見えてきた。まず第一に大企業の中でも圧倒的な力を持ち、他の大企業でも格下の出入り業者扱いをする姿だ。

  これが可能なのは総括原価方式という、他の企業では考えられない特典を電力会社は与えられているからだ。つまり、電力会社は電力を作り出すのにかかった原価に3%の利益をのせて、電力価格を決めることが認められている。しかも地域独占だから競争原理は働かない。これが総括原価方式。

  だから、普通の企業ならできるだけ原価を安くするために値切るが、電力会社は原価が高くなったほうが3%分の利益の絶対額が大きくなるから、値切る必要がない。電力会社と取引している企業にとって電力会社は特別な上得意で、その意向には逆らえないのだ。

  その一方で、電力会社は経産省の認可によって成り立ってる特殊な会社だ。そこで東電など電会社は、影響下にある大企業に経産省からの大量の天下りの受け入れを斡旋することで、電力会社の意向に反する「指導」が行われないようにしている。

  電力会社が一番気にするのはマスコミと政治だ。事故など不祥事がマスコミや国会で取り上げられたくないので、東電の極端な隠ぺい体質が生まれたのだろう。今回の東電の「第三者検証委員会」も東電の体質と似ている。今回の検証作業では東電に依頼された弁護士が検証作業に当たったというが、東電関係者以外からの聞き取りは全く行っていない。それでいて平気で「第三者」と称している。
 
  もう一度、国会事故調を立ち上げ、本物の「第三者」による徹底した福島原発事故の検証が必要だ。