原発がここまで拡がった大きな理由は「原発は火力発電など他の発電より安い」という神話による。しかしこれは事故の時の費用や使用済み燃料の処理費用の大半をを原価に入れず、国、つまり税金によって賄うことを前提としてきたからだ。


  フランスアレバ社がフィンランドで建設中の原発は、意図的な航空機の衝突に備えて格納容器を二重にし、メルトダウンしても溶けた燃料が自然に冷えるようにコアキャッチャーという安全設備を設けている。安全性は高まるがその分原発建設コストは従来の倍以上かかるという。そのため、欧米では経済的に原発は採算に合わないとされつつある。


  日本政府は、原発のコストが火力など他の発電コストを超える場合に、特別に支援する制度を検討しているという。つまり、原発は他の発電よりコストが高くなっても特別に保護するという政策だ。事故の危険性があり、コストの高い原発を何故特別に支援しなければならないのか。原子力ムラの既得権益を死守するためとしか考えられない。