滋賀県知事選で自民、公明、大阪維新が応援した官僚候補を破り、嘉田知事の卒原発路線を踏襲した三日月候補が僅差で勝利。原発再稼働と集団的自衛権を強行する安倍政権にノーを突きつけた。


  この勝利は、政局の潮目が変わったことを意味する。原発と集団的自衛権に加え、集権的、強権的、唯我独尊的にことを進める安倍政権の体質に対し、琵琶湖を抱える滋賀県という地方自治体の環境政策を守ろうという分権派、自治派の勝利でもある。


  民主党も国政選挙で大敗し、少なくなった国会議員が元気をなくしているのに対し、自治体議員は相対的に元気だ。民主党の自治体議員の中で、脱原発と立憲主義を旗に掲げる全国的ネットワークが動き出している。民主党を立て直すには元気で、目先ではなく日本の将来を考えている自治体議員に大きな役割を持ってもらうことが重要だ。


  人気のある党首にぶら下がって訳もわからない新人議員が大量に当選した維新の会などの新党と違って、逆境の中で議席を守ってきた民主党の自治体議員は質が高い。国政への新人候補の選考でも、弁護士、官僚、ベンチャー企業経営者といった人材を重視しがちだったが、これからは自治体議員経験者の中からも優れた多くの人材を国政に送ることが、政党の体質を強くするうえでも重要だ。


  民主党が国民的支持を失ってきたこの数年の間に、みんな、維新、結いといった多くの新党が生まれた。かつて長年野党第一党であった社会党に代わって日本新党、新生党、さきがけ、新進党、民主党といった政党が誕生した1993年からの数年間に状況は似ている。1993年に始まった政界再編は、民主党が野党第一党となり、政権交代を実現した。


  今回のこれらいくつかの新党に、自民党に対峙して政権交代の軸となることを期待した人も多かった。しかし、自民党にすり寄る維新やみんななど、自民党に対峙できる新党は育っていない。人材も党首人気で当選した一年生議員が圧倒的多数を占めており、本格的論戦に耐えるにはまだ経験不足だ。


  民主党も多くの問題を抱えている。しかし、自民党に対峙し、安倍総理の強権政治を阻止するには、民主党が脱原発と集団的自衛権反対を軸に据えて頑張るしかない。


  今日の衆院予算委員会で、滋賀県知事選での勝利を背にして、海江田代表が安倍総理にどこまで迫ることができるか、注目に値する。