今日の朝日新聞一面に、原発事故当時、官房副長官として事故対応に当たった福山哲郎参院議員の調書に基づく記事が掲載された。主に当時の避難区域の決定の状況について述べられている。

原子力災害特別措置法では、住民避難については現場に近いオフサイトセンターに現地対策本部を設け、原発関係者だけでなく自治体関係者も集まって判断することになっていた。しかし、地震のためオフサイトセンターには現地対策本部長の経産副大臣も深夜まで到着できず、地元自治体からも人が集まらなかった。事故発生直後から刻々と原発の状況が悪化し、官邸に来ていた原子力安全・保安院、原子力安全委員会、東電から派遣された人たちの意見を聞いて、官邸の原災本部が避難についても直接判断するしかなかった。その調整に当たったのが福山官房副長官。

現在、原発立地周辺自治体は、避難計画を策定している。交通渋滞などを考慮した避難計画をたて、それを計画通り実行することがいかにむつかしいか、福山調書から多くの教訓が読み取れる。

アメリカでは避難計画を立て、実地訓練を行わない限り、原発は稼働させない、とヤツコ元NRC委員長が述べている。しかし、安倍政権は避難計画の実効性については審査しないと言っている。現在日本に存在する全ての原発は自民党政権時代に 建設されたもの。民主党政権だけでなく、自民党政権も責任は重い。福山調書の教訓を生かして欲しい。