3月19日朝10時から2時間半、ドイツ連邦議会の環境委員会でチェルノブイリと福島原発事故に関する公聴会が開かれた。委員会には各党の連邦議会議員に加え、官僚や市民の傍聴も多かった。

チェルノブイリ原発事故に関しては元グリーンクロスロシアのメンバーで、チェルノブイリ原発に関わったことのあるグズネツオフ氏が話をした。旧ソ連では事故を起こしたのと同じ古い型の原発が今も11基稼働している事、山火事で汚染している森の放射性物質が大気中に飛散し、新たな汚染が生じていること、チェルノブイリ事故の前の1977年に廃炉を決めた原発が資金不足で処理が進まず、今も燃料が取り出せておらず、危険な状態にあることなど、恐るべき事実が次々と証言された。


▲菅直人・ヘーン委員長(中央)・
 チェルノブイリについて講演したクズネツフォフ氏(右)


その後、私が福島原発事故について話をした。福島原発事故が5000万人の避難が必要となる瀬戸際の事故であったことを説明すると、多くの人がショックを受けた様子だった。私の話に対し、20人近くの各党議員から質問を受けた。女性議員からは健康被害の実情、食料の安全性、作業員の安全管理などの質問を多く受けた。また原子力ムラの影響力、現在原発が全て止まっていても電力が供給できている理由、再生可能エネルギー推進の主体、政党の枠を超えた脱原発グループはあるのかといった幅広い質問が次々と出された。福島原発事故に対する関心の高さを感じた。

環境委員会の後ベル財団の理事との昼食会と本部ビルの視察を行った。ドイツでは各政党の政策立案を支援するシンクタンクに国が資金を出している。ベル財団はドイツ緑の党を支援するシンクタンクで、400人のスタッフを擁し、世界各地に支部を持っている。我が国では政党助成金はあるがシンクタンク支援の制度はない。政党助成金の半分程度をシンクタンクに当て、政党の政策立案機能を高めることを日本でも考えるべきだ。

ベル財団の本部ビルは徹底した省エネビルで、サーバーからの熱も暖房に利用していた。興味深かった。



---------------------------------------
上記のドイツ連邦議会「環境委員会」での「チェルノブイリ/福島」をテーマにする公開ヒアリングにての映像です。(ドイツ連邦議会の公式HPより)
『Vulnerabilities in nuclear power plants(原子力発電所の脆弱性)』

※59分35秒に司会から菅直人紹介が始まり。1時間2分20秒頃から菅の報告がスタートします。
※全編ドイツ語での映像です(菅の日本語での報告にドイツ語の同時通訳音声がかぶっています)。

【映像】→ http://www.bundestag.de/dokumente/textarchiv/2014/49828570_kw12_pa_umwelt/index.html