準備を進めていた本が10月26日発売されることが決まった。題名は「東電福島原発事故・総理大臣として考えたこと」。幻冬舎から新書として出版される。


  福島原発事故については、政府事故調、国会事故調、そして民間グループや専門家による個人的な事故報告がすでに出ている。しかしもっとも重要な当時の記録である、東電本店と福島原発第一サイトの間のテレビ会議の全容が明らかにされていない段階での調査報告だ。事故の実態を明らかにするためには更なる事故調査が必要だ。


  最近、東電のテレビ会議の記録が五月雨的に開示されている。私は、事故発生の5日目の3月15日未明に東電本店に乗り込むまで、テレビ会議で本店と現場の福島原発第一サイトがつながっていることは知らなかった。


  報道されたテレビ会議の様子を見る限りでも、現場は必至で頑張っている。しかし、必要な資材が現場に届いていないなど、本店のサポート体制が十分だったのか、疑問が出されている。


  3月11日の事故発生直後、東電の要請を受け、官邸は電源車を送ることに全力を挙げた。それ以降は特に要請もないので、必要な資材は当然本店が中心となって現場に送っているものと思っていた。


  しかし、事故発生後数日経過しても、現場では直流電源となるバッテリーが足りず、自家用車のバッテリーを取り外して、つないで使ったということがテレビ会議から明らかになった。東電本店単独では必要な資材を送る体制すら取れなかったということだ。


  15日以降は政府と東電の統合対策本部が東電本店内に立ちあがったので、自衛隊、警察、消防など東電以外の部隊による支援体制がスムーズに機能するようになった。