先日国家戦略室の担当者の説明を聞いて、原発事故による電力コストの上昇をわずか0.6円/kwhと試算していることに驚いた。根拠は今回の福島原発事故の損害を6兆円とし、40年でそれを賄うという試算。

 

  今回の原発事故で避難している人は16万人。しかし、最悪のシナリオのように首都圏全体から3000万人が避難した場合、避難者数でも200倍だから、東京に地価を考えれば損害は200倍をはるかに超える。200倍と計算しても1200兆円ということになる。原発の電力コストは120円/kwh跳ね上がる。


  1200兆円という、国家予算10年分以上の損害をだれが補償できるのか。東電が逆立ちしても補償できる額ではない。だから原発には民間の損害保険会社は保険を受け付けない。


  原発の建設や運転は通常の経済行為としては成り立たない。原発を早く停止させると経済に悪影響が出るというのは、稼働させた場合の経済的損失を無視した議論で本質的に間違っている。


  電事連は最近、核廃棄物からプルトニウムを取り出す再処理をあきらめると、青森県にある使用済み燃料の県外持ち出しを要求されるから、再処理の前提となる原発を稼働させる必要があるというキャンペーンを張っている。全く逆転した論理だ。使用済み燃料とそれに含まれるプルトニウムを増やすような原発稼働をまずやめることが必要で、今まで貯まっている使用済み燃料の処理は改めて考えるべきだ。