原発の占める比率などエネルギー基本計画を、8月中、それも8月10日ごろまでに決めようとエネルギー環境会議の事務方は考えているようだ。しかし、国民的議論は始まったばかり。一方的に押し切るように、内閣が決めることは絶対にやるべきでない。


  昨年7月、私が「脱原発依存」を宣言したころから、本格的な議論が始まった。経済界の一部は電力不足による経済への悪影響を声高に主張しているが、再生可能エネルギー導入の動きが加速しており、一時的に化石燃料への依存が高まるとしても、将来は原発にも化石燃料にも依存しない世界を実現できる。


  野田政権も、これまでは社会保障と税の一体改革に全精力を注いできた。それは理解できる。しかし、これからは原発を含むエネルギー問題にしっかり取り組んでほしい。


  原発の問題は技術専門家や経済界が議論の中心となるべき問題ではない。文明の在り方を問う問題であり、国民一人一人の生き方にかかわる問題でだ。ドイツでは哲学者や宗教家を交えた「倫理委員会」を設け、議論し、脱原発の方針を決めた。日本もそれに倣うべきだ。