全原発の停止によって、国民のエネルギーに対する関心が高まり、エネルギー選択の議論が深化してきているように感じる。従来、電力に集中していた議論がエネルギー消費全体の議論に広がりつつある。


  日本において最終的なエネルギー消費は約半分が「熱」、約四分の一が「電気」。約四分の一が「輸送燃料」だ。半分を占める熱を無駄なく効率よく供給できれば、エネルギー全体の効率が高まるだけでなく、CO2削減にもつながる。


  ヨーロッパでは暖房や給湯などの熱供給は自治体が中心で、熱いお湯を各家庭に送っている。熱源の多くは発電所やごみ焼却場からの熱を活用している。しかし日本では、原発はもとより通常の火力発電などでも、都市から離れたところにあるため、大半の熱は利用されないまま捨てられている。


 エネルギー消費の約半分を占める熱についての議論がもっと高まることを期待している。