この連休中、池澤夏樹氏の「すばらしい新世界」を読み始めた。オルダス・ハックスレーの本と同名。


 ハックスレーは、人間の幸福を政治的な徹底管理手法で実現した時の非人間性を、逆ユートピアとして描いた。子供のころ父から話を聞き、私の考えに大きな影響を与えた。


 比較的最近になって、妻伸子の勧めもあって、池澤夏樹氏の書いた文章はよく読む。直接会って話をしたこともある。しかし長編の小説を読むのは初めて。主人公が風力発電を制作する技術者で、ネパールに出かける話。主人公も作者も理系の技術者というところで何か妙に共感するところがある。


  科学技術を知るということは、ある種の思想体系を知るといえる。宗教や哲学と違うが、一種の思想である点では共通だ。人間が科学技術という思想をどう受け止め、どう対応するかが問われている。


 46億年前誕生した太陽系。地球上のエネルギー源で、地熱を除けば、太陽によらず人工的にエネルギーを生み出すのが原子力。地球上の生物も、太陽がなければ生まれておらず、その意味で、太陽は全ての生物の創造主、「神」である。


 科学技術は、人間を生み出した太陽という「神」から離れ、独立する技なのか。それとも太陽と共存する技なのか。私は共存する道を選びたい。。