原発を運転すれば、高レベルの放射性廃棄物が生まれる。これまで、核廃棄物の問題は、原発の運転上の安全性とは分けて議論されてきた。しかし、福島原発事故では、原子炉外のプールにあった使用中の核燃料が、最も危険な存在となった。

 

事故当時、福島原発4号炉は定期点検中で、原子炉内の核燃料は、原子炉の外で、建屋の中にある、使用済み燃料プールに移されていた。このプールが地震で壊れたり、冷却できずに水が蒸発してしまうと、核燃料はメルトダウンを起こす。プールは原子炉の外にあるため、メルトダウンを起こすと、大量の放射性物質が直接外気中に放出され、広範囲の避難が必要になるという最悪のシナリオが、当時一番心配された。

 

そこで、核燃料プールに水をに注入するため、自衛隊のヘリコプターを出動させた。その後安定的な水の注入が可能となり、プールの補強も行って、危機的状況は回避された。

 

原発の議論をするうえで、使用済み燃料など核廃棄物のことを分けて考えることはできない。脱原発のロードマップ(工程表)を考える時も、核廃棄物の持って行き場がない現在の状況を考えれば、残された時間が少ないことがわかるはずだ。