パンプスの前に腹這いになると、マサキは、お靴の裏を・・・お靴の裏を掃除させてください、と言葉に力を込める。クミは壁に左手をあて、右のパンプスをのばし、靴底の表情を見せる。マサキはそれをしばらく鑑賞する。靴底中央の卵型の滑り止め。ブツブツの凹凸。そのブツブツを鋭利な線模様がかこむ。ヒールの踵はささくれ立ち、すり切れた線模様がうっすらとある。
靴底にだんだん吸い込まれそうになる。靴底にとけそうになる。腹這いのまま、右の足首を両手でしっかり支え、舌でブツブツの凹凸にふれてみる。ゴムの匂いと塩味。パンプスのつま先の表皮とは異なる味。鼻にゴムの匂いをまといながら舌で靴底の味を記憶する。
靴底全体を舐めあげる。マサキにとって、この世でもっとも価値のある、女性の若さと美しさ。それにひきかえ、この世でもっとも価値のない、マサキのような中年の醜男。カネがあろうが、地位があろうが、教養があろうが、なかろうが、そんなものが何になる、醜男は若く美しい女性の前ではひれ伏さなければならない。踏み殺されなければならない。それがマサキの哲学であり、生き方である。(下書き原稿)
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