食品添加物 <パン生地改良剤> | 『遊び』のススメ

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パン生地改良剤というより、小麦粉の改良剤というほうが正確かもしれません。

実際これを使用すると、パン生地を粘り強くできて弾力性のあるきめの細かいパンが、機械でも簡単に焼けるんだそうです。
『ふわふわ』とか『もちもち』の秘密は、まさにこれだったということです。

この魔法のような添加物、その名を臭素酸カリウムといいます。
使用が認められたのは1953年(昭和28)と古く、まだまだ食糧難の時代にアメリカあたりから支援された小麦でもってパンを焼くのに、食感もよく簡単にするためにはある意味必要なものだったのかもしれません。

ところが。
1976年(昭和51)旧厚生省は、臭素酸カリウムには『変異原性』があると発表します。
変異原性とは、遺伝子を突然変異させたり傷つけたりする性質がベースにあるということです。

この発表を受けた消費者団体は旧厚生省に対し、臭素酸カリウムを使用禁止にするよう要求しますが、動物実験で発がん性が確認されたわけでもなく、ただ変異原生があるというだけでは使用禁止にはできないとしました。

当時は学校給食でもこの臭素酸カリウムを使って焼いたパンが出されたりしていて、当然、消費者団体はこの判断に猛反発します。

その結果、1980年(昭和55)、大手を中心とする日本パン工業会が折れるかたちで臭素酸カリウムの使用中止を決定し、中小のパン製造業者もそれに追従し、ほぼ使われなくなりました。

あとになって動物実験結果から臭素酸カリウムに発がん性が認められ、WHOの国際がん研究機関はグループ2B(ヒトに対して発がん性を示す可能性がかなり高い)の発がん性物質に指定しますが、この時点でも旧厚生省は『最終食品の完成前に分解または除去すること』を条件に、全面禁止にはしてません。

なのになのに。
1992年(平成4)になってFAO(国連食糧農業機関)とWHOの合同食品添加物専門家会議が『臭素酸カリウムを小麦粉改良剤として使用するのは不適当』しました。
ここでようやく厚生省はパン業界に『使用自粛』を要請し、業界がそれを受けて全面使用自粛にいたったんですが・・・。

実は、とある大手パン業者は、最終食品の完成前に分解または除去できれば問題ないんでそ?、と『ふわふわ』『もちもち』を全面に押し出して臭素酸カリウムを使っています。

厚生労働省の定めた規制値はパンの焼成中に臭素酸カリウムがかぎりなく除去されるはず数値なのでしょうが、パン生地の時点で添加量を多くしすぎたり、あるいは焼成条件でも規制値を超える場合がでてくるようです。

そもそも、いまでは主食ともいうべきパンに、健康を害すると可能性を含めてわかっているものを使う姿勢がどうなの?
ということです。

そんな『品質改善と風味向上』なんて、要りませーん。