先月、台湾から帰国して早々、ちょっとした挑戦が始まった。
なんと、10歳の男の子に日本語を教えることになったのだ。
これまで大人にしか教えたことがない私。
最初は「子どもの指導経験はないので……」とお断りしたのだけれど、
「ひらがなもカタカナもバッチリ、
日本人の言うこともだいたい分かります!
大人と同じ教え方で全然大丈夫ですから!」と押し切られ、引き受けることに。
で、今日のレッスン。 テーマは「〜ています」の練習。
「ご飯?」 「ご飯を食べています」 うんうん、順調。
「本?」 「本を読んでいます」 いいぞいいぞ。
「電話?」 「電話を話しています」
……ん? 雲行きが怪しくなってきた。
「電話」は話す対象じゃなくて、使う『道具(ツール)』。
だから「電話で話します」になるんだよ、
「えんぴつで書きます」と同じね、と説明してなんとかクリア。
ずっと対象の「~を」を使う文ばかり並べていたのに、
急に「で」が登場するトラップを仕込んでしまった。
これは完全に私のミス。反省、反省。
気を取り直して、次!
「いす?」 「いすで座っています」
……あちゃー! またやってしまった!!
すかさず「椅子は道具じゃなくて、お尻を乗せる『場所』だよね。
だから、いすに座っています、になるんだよ」と解説。
心の中で「ごめん!」と平謝り。
「〜ています」の練習をするなら、
最初は素直に「〜を」でつながる文だけで統一しておくべきだった。
10歳のピュアな脳脳に、私が勝手に変化球を投げまくって自爆してしまった。
日本語教師になる前は、日本語なんて世界一簡単な言語だと思っていた。
だって、自分が毎日何も考えずに話せているんだから。
でも、いざ教える立場になると、これがまあ、とんでもなく難しい。
10歳の男の子を前に、何十年も日本語をしゃべってきた自称プロが、
一番「ううむ……そう来たか!」と感心させられる。
これだから日本語教師はやめられないんだけどね。