これまでの写真を見返してみると

家族で写ってる写真に

あなたはここ何年も目を逸らしていたことに気づく


写真が苦手だという事は知っていた


でも

結婚当初の写真はそんなことなかった


こっちを見て優しい目をして笑っている

少し照れくさそうに笑ってはにかんでいる


それがここ何年かで

本気で嫌がっている感じが写真からも伝わる


でも

私は写真におさめておきたかった



私はそもそも過去をあまり振り返らない

というより忘れてしまう(笑)


そんな自分のために

夫とうつる息子の写真や

家族3人で写っている写真を見て思い出せるよう

いつも必死で撮っていた


あの公園で

いつものごはんやさんで

この時間

この一瞬を

私は記録しておきたかった


それが私へのささやかなご褒美でもあった


またかよ、とうざがられるのもわかっていたけど

それでも何年後かに後悔しないよう

あきらめずに撮り続けた



そんな私にとってご褒美だった写真たち

だけど

ここ1年間の写真は見るのは辛い


あぁこの、カメラから目をそむけたいあなたは

もうほかにいい人がいたんだな

とか


この時のあなたは何を考えていたのかな

とか


そっちの人とは

家族とは

仲良く写真撮ってるのかな

とか


私たちの思い出の写真なんて

もう必要ないんだろうな

と思えるほど全力で嫌がる姿を見つけてしまうから



ある日言われた


すでに私には不倫がバレていた時

そのお相手の方が万が一、一緒にうつってる写真を見てしまわないように、と

SNSにはアップしないでくれ、と言われた



私は快諾した。


だって

誰かに披露するために写真を撮ってるのではないから


その人に何かいらん感情を持って欲しくなかった


これは私たち家族の写真だから


誰にも何にも言わせないし

感じて欲しくない

私たちの大切な思い出だから


ただそれだけでよかったから



そして

何年後

何十年か後に

家族が本当にここにあったんだ

息子に思い出してもらうためだから



この写真たちは

あなたにはあげない


もう必要ない


あなたはそう決断した

そういう態度を取り続けた


きっと頭の中にある思い出の秘蔵館に

きっとある写真たちは

あなたが見たい景色を映し出してくれるだろう



これまでいろんなことがあった

写真の中では

引っ越しも

転職も

アメリカへの移住も

全てが誠実に写っている


私はあなたを信じていた


写真の中では

そんなたくさんの変化に戸惑うことなく

楽しそうにしている私がいる


どこまでもついていくよ

家族なんだし

そんな力強い私がいる


それは嘘じゃない


書き換えられない真実がそこにある

それでいいじゃないか


それを忘れないでおけばいい





家族で過ごす時間は、年内あと10週間ほどある


どんな家族でいたいか


私も私であり続けるために

写真もきっと撮るだろう


私がここにいる

息子がいる


そして

あなたも確かにここにいたんだよ


少なからず

夫として

息子の父親として


そう未来の私も思い出せるよう写真を撮る


家族のカタチは変えても

あなたはここにいたことは事実だから

 

今までありがとう

そんな気持ちで

いつかあたたかい気持ちで

この写真たちを懐かしく見返すことができるよう

今は全力で前を向く


そう

今は辛い過去は振り返らなくてもいいように


写真が記録しておいてくれるから


今は忘れてもいいんだよ