昨日、音楽劇「ライムライト」（長野公演）の感想をアップしましたが…。
観劇前に、長野県信濃美術館東山魁夷館や善光寺巡りをしてきましたので、その感想を少しずつアップしていこうと思います。

先ずは、ずっと行きたいと思っていた長野県信濃美術館東山魁夷館で鑑賞してきた「日展三山」の展覧会についての感想です。

東山魁夷画伯は日本を代表する画家なので、日本全国の美術館で作品を鑑賞できる機会がありますが、長野県信濃美術館東山魁夷館は約960点も東山画伯の作品を所蔵しているそうです。凄い作品数ですよね。

こちらが、長野県信濃美術館東山魁夷館です。

BSプレミアムで放送された『極上美の饗宴』のシリーズ、NHK『日曜美術館』のアートシーンでも、何度もテレビで観ていた憧れの美術館です。

美術館内からは、こんな感じ♪東山画伯のイメージにピッタリのお洒落な美術館でした。

ソファーも置かれ、ホテルのロビーのように落ち着いた雰囲気でした。すっかりくつろいでしまいました♪
この日、長野はびんずる祭りというお祭りだったこともあってか、美術館内には人が少なく、貸切状態でした。

鑑賞した企画展は、「日展三山」と呼ばれた三巨匠、東山魁夷画伯、杉山寧画伯、高山辰雄画伯の作品を展示した展覧会です。
東山魁夷館が25周年を迎え、それを記念して、香川県立東山魁夷せとうち美術館との共同企画で開催された展覧会だそうです。

日展に三作並んで展示されていた三巨匠。
しかも、伝説と言われている東京オリンピックが開催された昭和39年の日展の出品作を一堂に介して、この三作品が並んで展示されていました。
右から、杉山画伯の「穹」、東山画伯の「冬華」、高山画伯の「穹」です。

この並びの凄い事！
たまたまだったそうですが、杉山画伯と高山画伯の作品の題名が同じで「穹」。
「穹」というと、浅田次郎さんの直木賞受賞作「蒼穹の昴」が思い浮かびます。蒼穹は大空…なので、「穹」は空を意味しているんじゃないか？と思います。

杉山画伯の「穹」には、月が描かれていないのですが…。月の光が差し込んで、作品全体が輝いて見えて…まるで、隣りに並んでいる東山画伯と高山画伯の作品に描かれた月の光が、杉山画伯の作品を照らしているような…素晴らしい光景が観られました。

また、三作品の色合いも素晴らしく、群青の作品に挟まれた東山画伯の真っ白な世界の美しさに見惚れました。外の暑さを忘れるような涼しい気持ちになりました。

さらに展示室を進んでいくと、東山画伯の「緑響く」が展示されていた部屋がありました。白馬シリーズで一番有名な作品ですよね。

東山魁夷画伯の作品の中で一番好きな作品です。
やっと会えた…という想いで、感慨深く、思わず涙ぐんでしまいました。本物の緑は深かった…。
東山画伯が、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調K.488第二楽章を聴いて、この曲からインスピレーションを得て描かれた作品です。

東山魁夷「緑響く」

この部屋には、他にも3作品（「行く秋」、「白馬の森」、「草青む」）が飾られていました。東山画伯の4作品の美しさに、うっとりとなりました。
一人でゆっくりと鑑賞させていただくことができました。幸せな時間でした。

白馬シリーズの中で一番大きな作品。
東山魁夷「白馬の森」

東山ブルーのなんて美しいこと♪

他に、印象に残った作品。
3年前に『日曜美術館』で「夢の東山魁夷　傑作10選」が放送された時、第5位に選ばれた「夕静寂」も鑑賞することができました。
東山魁夷「夕静寂」

ちょうどこの日、この展覧会に因んで、高山辰雄画伯の娘さんで、脚本家・映画監督でもある高山由紀子さんの講演会もあり、参加することができ、三巨匠のお話しを伺うことができました。

一番印象に残ったお話しは、高山由紀子さんが東山画伯の奥さまのすみ夫人の話をされ…。すみ夫人とお会いすると、いつも爪に岩絵の具が付いていたというお話しをされていました。いつも東山画伯の製作のお手伝いをされていたようです。画伯のために、岩絵の具をすり鉢ですっていたんだと思います。胸がいっぱいになりました。すみ夫人は、女子美出身なんですよね。ご自身も絵を描いていた方なんですよ。

高山由紀子さんのお母様、高山辰雄画伯の奥さまも女子美出身だったそうです。それは、知りませんでした。なので、高山画伯の奥さまもずっと製作のお手伝いをされていたそうです。まだ売れていない駆け出しの頃から、奥さまは高山画伯のことを「世界一の画家」と仰っていたそうです。

高山由紀子さんが「父の絵の半分は母」と仰っていました。父の作品に、母の名前を入れてあげたいくらいと…。東山画伯の作品にも、すみ夫人の名前を入れてさしあげたかったと仰っていました。
縁の下の力持ちというか内助の功…影でしっかりと支えていた2人の巨匠の奥さまのお話しに、深く感動いたしました。
他にも、作品について貴重なお話しを伺うことができて、講演会に出席できて本当に良かったと思いました。

★おまけ♪
3月14日に開通した北陸新幹線を記念して、JR長野駅の東西自由通路上部に飾られた東山魁夷「壁画静映｣（長野県信濃美術館が所蔵している作品です）

この後、長野県信濃美術館で、ドラッカー・コレクション珠玉の水墨画「マネジメントの父」が愛した日本の美を鑑賞してきました。感想は、また後日書こうと思います♪