先日、ホテルオークラ東京で開催されていた『第21回 秘蔵の名品 アートコレクション展 美の宴 -琳派から栖鳳、大観、松園まで-』を鑑賞して参りました。(会期は終了しています。)

オークラ東京の本館が、建て替えの為、8月末で営業を休止することを知り、最後に本館の姿を目に焼き付けておきたいという思いもあって行って参りました。

秘蔵の名品アートコレクション展は、チャリティー絵画展として1994年から開催されて、今年で21回目だそうです。私が印象に残っているのは、2010年に開催された『平山郁夫 平和への祈り』です。

ホテルオークラ神戸のロビーに、平山郁夫画伯の描いた「豁然開朗」(津田の松林)が掲げられているように、他にも、平山画伯の息子さんの結婚披露宴をオークラで行ったそうで、ホテルオークラと平山郁夫画伯との縁は深かったようです。素晴らしい展覧会だったんですよ。

今年の展覧会のテーマは、「宴」でした。
宴は、飲食、歌舞などで楽しみながら、人々の懇親を深める場。
季節の節目を祝う機会であったり、人生の記念となる機会として、宴は人々を集わせる特別な機会であり、ホテルオークラ東京の本館の最後を名残惜しくも、華やかに飾るにふさわしい展覧会となっておりました。
会場も、本館で一番大きくて豪華な「平安の間」で開催されていました。

★印象に残った作品
宴が、楽奏と舞楽の晴れの場でもあるように、音楽と踊りに関係する作品がたくさん展示されておりました。
宴席を彩る華を感じさせる作品の中で一番良かったと思った作品は、上村松園画伯の作品でした。

上村松園「舞支度」
ウッドワン美術館が所蔵している作品なのだそうです。保存状態の良さに驚きました!

松園画伯の作品は、お着物を着ている時の所作、美しい身のこなしや舞を踊っている姿にリアリティが感じられますね。さらに穏やかなのに力強く、凛とした姿勢も感じられるところが好きです。

松園画伯自身が、余技として、金剛流の謡曲を二十年近くされていたことを何かの資料で読んだことがあります。仕舞を舞ったり、鼓と長唄も好んでいたそうなので、ご自身の体験も踏まえた繊細かつ美しさを作品から感じることができますよね。
とても柔らかな線描を使って描かれていました。素晴らしい作品でした。

竹内栖鳳「アレ夕立に」(この展覧会のポスターにもなっていました。)

酒井抱一「四季花鳥図屏風」

ホテルオークラ東京本館、最後の宴の場として「美の宴」展を鑑賞することができて良かったと思います。素晴らしい作品の数々でした。

オークラの本館のように格式高く、品のある雰囲気を持っているホテルが閉館してしまうのは、とても残念なことです。新装後も、和の格式と華やかさはそのままで…と願っております。
本館は、2019年春新装オープンの予定だそうです。別館においては9月以降も通常営業しているそうですよ。