-36℃ ~百舌鳥と早贄~

-36℃ ~百舌鳥と早贄~

百舌鳥男は早贄女を自宅の枝に突き刺し消えて、常備食があるのをいい事に、余所の新鮮な餌を啄み続けた。
誰か助けて下さい。
私の声は誰にも届かない。
だって私は死んでいるのだから。

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後悔はしてないよ

でもね?

忘れた日は一日たりとも無かったよ

思い出さない日は無かったし

何なら日に何度も

思い出したり考えたりしてるんだ


これって幸せだったって事だよね

今になってよくよく考えてみたら

…ってね

今度逢ったらどうしようか
何を話して何しよう
多分きっと絶対に
何にも出来ないよね

今もまだ好きだって白状するから
『ばーか』って言ってね
あの頃みたいなあの笑顔で

イブに失望しクリスマスに絶望した私は姿を消しました

行くあてもなく仕方なく我が家に立ち寄ると訳も聞かず母がお腹は空いてないのか?と白飯と豚汁とおでんの残りを温め直して出してくれました

クリスマスイブから何も食べていなかった私

誰かに作ってもらったご飯を食べるのって本当に久しぶり

と言うか

母のご飯を食べるの何年ぶりだろうかとか考えながら

どんな料理よりもこの世で一番美味しく感じて

気がつくと泣きながら真夜中の晩ご飯を食べていた

なぜ嘘を吐くのだろう

なぜ懲りもせずに何度も何度も同じ事を繰り返すのだろうか



それは

自分の為?

相手の為?

やましいから?

何かを隠す為?

正直に言えない何かがあるから?



その場凌ぎの嘘はもう止めた方がいいよ?

自分で自分の首を締めてるってまだ解ってないの?



このまま

嘘に嘘を重ねてたら

その内

身動きもとれなくなるって

ちょっとは自覚しろよ



その瞬間

私の中のあらゆるモノ

ナニもかもが

まるで

ドミノ倒しの様に

きれいに現実の軌跡を描いた




崩れ去るのは

本当に一瞬だ
私はここに居てもいい?

私が居ないと駄目?

私でないと無理?

例えその目的が
お金や身体や都合の良さだけであっても
私は誰かに必要とされたかった

私に依存してくる男に私は依存しているのだ



喧嘩するほど仲が良い
確かにそうかも知れない

私は本音を口にしない人間だった
口に出せないが正しいかな

相手に対して嫌な事も
気になる事も
怪しい事も
口には出さずに
知らない振り
気付かない素振りで
今までずっとやり過ごしてきた

言えなかったのは
ただ単に自分に自信が無かったから

余計な事を言って相手に嫌われないか
捨てられないか


でも
アナタは違ってた

私が吐き出したモノを
全て受け止めてくれて
ちゃんと解決してくれる
安心させてくれる
そんなヒトだったから

そして毎回必ずと言って良い程
喧嘩の後はお決まりコース
仲直りのセックス
何もかもを誤魔化し
言い訳さえも有耶無耶にする儀式


私はそれを安心とか信用とか
包容力なんていう
陳腐な言葉と引き換えに
何かとんでもなく大切な何かを失っていた

要らなかった子は自分の存在価値を確かめる為だけに、誰かに必要とされたいが為だけに、馬鹿な事ばかりを繰り返す大人に成り下がった。

愛が何か解らなかった。
愛するという事。
愛されるという事。
愛自体が何なのかさえも。


自分がこの世に生まれ出でてきた事に、果たして何の意味があったのか、今もまだ判らないままだけれど、そんな私にも自分が産まれて来なければ良かったと思わなくなる日が訪れるなんて思いもよらなかった。

今までの事全てが今の為にあると思えた。

今度こそ今度こそはと、自分に嘘を吐き誤魔化し庇い続けたこの惨めな人生に終止符を打てると馬鹿な女は勘違いしていた。

これが本当の愛だと。
これが最期の恋だと。

生まれて初めてそう思えたのに。








そもそもモズと知り合ったのは十五年近く前だ。

当時から有名なスケコマシで、上司や同僚達からも、よく注意する様にと言われていた。

アイツに関わるな。
アイツに近づくな。
アイツと話しただけで妊娠するから気をつけろ。

そんな事もあって、何かこう自然と私からは一線を引く感じで接していた。


だいたい
再会するなりオンナを紹介しろとか
その上
前の女は死んだなどと言ってきた男だ

私が嘘言うなと言えば
周囲に大きな声で
『なぁ?前の女、自殺して死んだよな?』
とか聞いている

コイツ、本当に最低のクソ男だなと思った。

デリカシーとか世間一般常識とかいう言葉では到底太刀打ち出来ない程の外道だと再認識した。

それは付き合っていく内にどんどんと化けの皮が剥げ落ち、ハッキリと正体を現した。

同僚の嫁、元嫁。
友人の嫁、元嫁、元彼。
そう、誰彼構わず、手当たり次第だ。

それを自慢気に私に話してくる。

話すだけならまだしも会わそうとする。

家に連れて行ったり、一緒にご飯を食べに行ったり、遊びに行ったり。
本当にコイツらの神経を疑った。

このオンナ達の旦那や彼氏は知っているのだろうか?
自分のオンナが同僚や友人と肉体関係にあった事を。

辛うじてその中に同時進行の相手はいない様だったが、それにしても、ドイツもコイツも、似たり寄ったりと言うか、同じ穴の狢とでも言おうか、親子丼やら兄弟丼的な事も了承済みなのか、私には理解不能だった。


始まりから何度オンナ問題で喧嘩になっただろうか。
だが、その度にモズは泣くのだ。
泣きながら謝り、優しく強く抱き締め、言い訳にもならない甘い言葉を呟き、その場凌ぎの愛の言葉を囁き、そしてまた泣くのだ。

そんな事を繰り返す内に、私も洗脳されてしまっていたのか、最終的には疑う余地なんて微塵も無い程に信じ切っていた。
100%信じていた。

私は愛されていると信じて疑わなかった。
互いに愛し愛されているという変な確信や自信もあった。

愚かにも、自分は世界で一番幸せ者だとか寝呆けた事を抜かし、この先の人生ずっとこの人と一緒に居たいとか、この人のいない人生などあり得ないとか、戯け事を口にしていた。

一途って何だろう?

一途ってどういう事?

今まで私が認識していた事は違ってた?

私が間違ってる?

万が一、私のこの想いが一途でないと言うのなら、私から言わせてもらうと・・・お前のは【三途】だ。