最初で最期の | -36℃ ~百舌鳥と早贄~

-36℃ ~百舌鳥と早贄~

百舌鳥男は早贄女を自宅の枝に突き刺し消えて、常備食があるのをいい事に、余所の新鮮な餌を啄み続けた。
誰か助けて下さい。
私の声は誰にも届かない。
だって私は死んでいるのだから。

要らなかった子は自分の存在価値を確かめる為だけに、誰かに必要とされたいが為だけに、馬鹿な事ばかりを繰り返す大人に成り下がった。

愛が何か解らなかった。
愛するという事。
愛されるという事。
愛自体が何なのかさえも。


自分がこの世に生まれ出でてきた事に、果たして何の意味があったのか、今もまだ判らないままだけれど、そんな私にも自分が産まれて来なければ良かったと思わなくなる日が訪れるなんて思いもよらなかった。

今までの事全てが今の為にあると思えた。

今度こそ今度こそはと、自分に嘘を吐き誤魔化し庇い続けたこの惨めな人生に終止符を打てると馬鹿な女は勘違いしていた。

これが本当の愛だと。
これが最期の恋だと。

生まれて初めてそう思えたのに。