【『おとうふ工房いしかわさんの偽装豆腐』の記事は個人の価値観に基づく中傷記事のようなもの | 豆腐マイスター協会代表のブログ!

【『おとうふ工房いしかわさんの偽装豆腐』の記事は個人の価値観に基づく中傷記事のようなもの

イオンの偽装豆腐の記事と同じ筆者のブログにおとうふ工房いしかわさんの偽装豆腐と書かれた記事もありますね。

こちらも読まれた方も多いと思います。
こちらも皆さんからお問合せを頂いていますし、読んでいて違和感も感じますので、私の考えを書いておきます。

イオンさんの件よりもこの記事は筆者の感情的な記事となっている印象があります。


参考までに、Newspicksをシェアします。
こちらのコメント欄は比較的冷静なコメントが多いように思います。
https://newspicks.com/news/2418355?ref=search&ref_q=豆腐&ref_t=top

僕の考えのほとんどは多くのコメントにも書かれていますが、僕の視点から少し整理させて頂きます。
 

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<この記事の要点と感じる違和感>

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この記事はつまりこういうこと。

パッケージに書いてある
『自分の子どもに食べさせたいそんな豆腐を作りました』

というメッセージを見て、

『国産大豆と天然にがり』

だけでつくられているとブログの筆者が想像。

大豆とにがり以外に、植物油脂、レシチン、オリゴ糖などが、使われている事を知り、期待を裏切られ、お客様センターに確認したが、特に悪いものを入れているわけではないという回答。

しかし自分の価値観の中にある『子どもに食べさせたい豆腐』ではない。

あんなのはニセモノ!悪質な事をしている!みんな買わない方がいい、とかきたてる。

筆者にとっては偽物かもしれないし、筆者の価値観の中では悪質かもしれない。

でも、別にニセモノでもないし

(ホンモノの豆腐って何?というのはイオンの記事で確認してください)
https://ameblo.jp/mytofu/entry-12301064399.html

いしかわさんにはいしかわさんなりの理由があって、


『子どもに食べさせたい豆腐』として、植物油脂やレシチン、オリゴ糖を入れているのだし、入れた成分を隠しているわけでもなければ、子どもが食べて悪影響のあるものを使っているわけではない。

期待していた男性にフラれ、あることないこと悪口を言いふらしているようなものです。

確かに豆腐とは大豆とにがりだけでつくられているもので、後から何かを加えているものは豆腐と言えないよね、子どもには大豆とにがりだけでつくられているものを食べさせたいよね、という方も多いと思います。

もちろん、その考えは間違っていないと思います。

そういう意味ではいしかわさんの豆腐は、大豆の味を引き出す豆腐づくりの本流とは言えないかもしれません。

ただ、それを偽装、悪質、買わない方がいい、とまで言っていいのか、というのがこの記事から感じる一番の違和感だと思います。

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<いしかわさんが考える子どもに食べさせたい豆腐とは・・・>
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ではなぜいしかわさんがわざわざ、

『自分の子どもに食べさせたいそんな豆腐を作りました』

とキャッチフレーズをつけて、この商品に大豆とにがりに加え、植物油脂、レシチン、オリゴ糖を入れているのか。

もちろん、いしかわさんでは、大豆とにがりのみで作った商品もたくさん販売されています。


いしかわさんは基本、消泡剤も使っていません。

この商品にはこの商品なりの理由があるのです。

僕はいしかわさんにインタビューをしたことがあるので、その内容を書いておきます。

これをどうとらえるかは皆さんの判断に任せます。

いしかわさんが大豆とにがりに加えて豆腐に使用している

・植物油脂
・レシチン
・オリゴ糖

すべて大豆にもともと含まれている成分です。
※下記の全国豆腐連合会の資料参照。



いしかわさんは主に二つの理由でこれらのものを追加で加えています。

『国産大豆を使うこと』

『子どもが食べやすい味の開発』

 

です。

大豆の自給率は、直近で7%、食用にしても25%ほどです。大豆は日本人に必要な食材。

もっと自給率をあげなければ、大豆を海外に握られていては、日本の食文化は海外に握られているも同じ。

 

子どもたちにはもっと国産大豆を食べられる環境を残しておきたい

大豆の自給率をあげるには、豆腐屋が国産大豆を使うしかない。

それもある程度の規模で。

これがいしかわさんの考えで、いしかわさんは、年間約3000トンの大豆を使いますが、全部国産大豆です。外国産大豆は同社では一切使っていません。

しかしながらこれだけの量の国産大豆を使おうとすると、一般的に手に入る奨励品種を使うことになります。

奨励品種は、たんぱくが多い分、どうしても、在来種などのお豆腐に比べ、糖質(大豆に含まれるオリゴ糖)や脂質は少なめになるものが多いのです。

このような大豆で作ったお豆腐は、子どもが好む甘みやコクが少なくなります。

加えて、豆腐は配糖体や酵素が出す大豆独特の香りがあります。

大人にはこの独特の香りが好きという人が多いのですが、実はこの香りは子どもが苦手な香りらしいのです。

※ちなみに外国人もこの独特の大豆の香りが苦手な人が多いらしいです。

子どもの中には、豆腐が苦手、という子も一定数いますが
実は豆腐が苦手、という子はこの大豆の独特の香りが苦手らしいのです。

なんとか、この子どもが苦手な大豆独特の香りをなくして
子どもがおいしい!と食べてくれる豆腐を、国産の奨励品種で実現できないか、と研究をして開発したのが、この至高のもめんと究極のきぬ、なのです。

オリゴ糖は、甘みだけでなく、大豆独特の香りの原因となる配糖体や酵素のマスキング効果があり、このにおいをおさえてくれるので子どもにとっては食べやすくなります。

オリゴ糖には整腸作用もありますから、子どものお腹にも優しい。

さらにコクを出し、子どもが食べやすくするために元々大豆に含まれている成分の植物油脂(大豆由来)を強化。

これらと豆乳の分離を防ぐためにレシチンを微量入れて調整しています。

意識されているのは、もともと大豆に含まれている成分のを加えること。
それも少量に抑え、自然の豆腐の味に極力近づけること

こうして、国産大豆の奨励品種を使ったお豆腐で、子ども
食べやすい豆腐として、開発されたのが至高のもめん、究極のきぬシリーズなのです。

※開発の話もいしかわさんのHPに掲載されています。
http://www.otoufu.co.jp/toufu
 

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<ブログ筆者の価値観と商品のコンセプトが合わないだけ>

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もちろんこうした製法は、大豆とにがりでつくるという元々行われてきた豆腐の製法ではありません。

どちらかというと新しい製法であり、新しい製品カテゴリだと思います。

子どもに食べさせたいのは、大豆とにがりだけでつくったもの、大豆そのものの味を引き出したものがいい、というのは個人の価値観としては良いと思います。

そういう人はこのお豆腐はホンモノじゃない、と思うでしょう。

それはその商品のコンセプトに個人の価値観が合わないだだと思います。

しかしその価値観を押し付けて、それ以外の製法で作られたものを否定し、さらには悪質よばわり、偽装よばわりするのはいかがなものかと思います。

さらにこうして新しいものをたたくことによって、豆腐の多様性は失われていくのではないかと思います。

古き、良き伝統ももちろん大切、しかし新たな価値を作り出していくことも食の豊かさのひとつではないでしょうか

そこを否定する権利は誰にもないはず。

あとは好みの問題で、消費者に支持されれば商品は残るし、支持されなければ商品は消えていく。

おとうふ工房いしかわさんの、究極・至高シリーズは発売から20年以上継続して売れ続けています。

パッケージにも 何を使っているか正直に書いています。消泡剤は使わずにつくっています。

使う原材料の基準はスタッフが自分の子どもに食べさせたいかどうか、だそうです。

偽装でも悪質でもなんでもありません。


今回の件は、いしかわさん自身の消費者に対する説明不足も一因かもしれません。

一方で消費者も、一部の情報に流されず、自分で情報を集めて検証する力を持つべきかと思います。

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 <この記事から感じる違和感は・・・表現の仕方>
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今回のいしかわさんの記事で大きな違和感を感じるのは、こういった商品の説明や事実云々よりも、

自分の価値観にあわない商品を、感情そのままに偽装や悪質という表現を使い、不買の呼びかけている事だと思います。

自分の正しいと思うこと以外は悪だ、と決めつけてあおっている書き方がこの記事を読んで感じる大きな違和感なのです。

本当にこういう表現を使って良いのか、疑問だったので、
当社の顧問弁護士事務所に記事を確認をして頂きました。

弁護士事務所の見解によると、かなりひどい表現であり、

 

おとうふ工房いしかわさんはブログの筆者に対して訴訟を起こすことができる

 

とのこと。

民事上は、損害賠償請求、記事の削除請求、謝罪広告請求
刑事上は、業務妨害罪及び名誉棄損罪での告訴

 

が考えられるそうです。

訴えられるレベルの中傷記事のようなものなのです。

この筆者は同様にイオンさんからも訴えられる可能性があります。


ブログはずっと残ります。訴えられる可能性をずっと残すということです。
筆者はここまで覚悟して書いているのでしょうか。

またこの記事をシェアした人も、シェアしただけでは
訴えられませんが、付与するコメントによっては同罪と
みなされ、訴えられる可能性を残す
とのことです。

シェアする人もここまで考えているのでしょうか。

SNSやブログでは簡単にシェアできます。
しかしながら、シェアする人も、シェアすべき内容かだけでなく、その表現も大丈夫かと検証すべきだと思います。

やはり情報を発信する人は、文章の書き方や表現も気をつける方が良いと思います。

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<最後に・・・この騒動を通じて思うこと>
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イオンさんの記事やいしかわさんの記事を通じて思うのは、

豆腐というのは、健康食であるがゆえに、また多くの人に愛されているがゆえに、『豆腐とはこうでなければならない』という個人の思想が強い食材だと思います。

それはそれで良いのですが、豆腐でも歴史を紐解けば色々な形で進化したり、形を変えたり、各地域で食文化があったりと多様化してきたものです。

にがりが使われない時代があったのを知っていますか?
絹ごし豆腐がいつ開発されたかご存知ですか?

何が正解なんてことはありません。

偏った考え方は、ともすればその食材の進化をとめ、食文化の発展を妨げるものではないか、と危惧するようになりました。

考え方は人それぞれですが、今回の件は、豆腐という食材が、多くの方に長きにわたって愛されるにはどうしたらいいか、深く考える機会になったと思います。

今回の騒動を機に皆さんも今一度、豆腐とは何かについてを考えて頂き、ご自身の好みの豆腐を見つけて頂き、また豆腐への愛情を深めて頂けると嬉しいです。

 

一般社団法人日本豆腐マイスター協会

代表理事 磯貝 剛成