(※その当時は今のように携帯電話を誰でも持ち歩くような
時代ではなかったことを書き加えておきます。)
キャンプ場行きのバスがなくなり
がっくりのhitoと4人の仲間たち。
そこへ地元のおじいさんがやってきました。
「何だ、お前ら。バスに乗り遅れたのか」
「うん・・・」
「まったくしょーがねーなぁ。若い連中は!
しっかり時刻表をみろよ!」
後でみんなで話したときですが、この時みんなこのおじいさんに
ムカッ腹が立ってしょうがなかったと言ってました。
しかし、ここでおじいさんが
「よし、バスが戻ってきたらもう一度
行ってもらうよう頼んでやるよ」
えっ?Σ(゚д゚;)
10分ぐらいしたら別のバスが戻ってきて
先ほどのおじいさんが運転手に話してます。
おじいさん「オーイ、もう一度行ってくれるってよーっ!」
凄え!ここのバスは融通が利くぜ!
また当時の神津島ではバス停でなくても
通りがかりのバスに向かって手をあげると
乗せてくれました。あれは便利でした♪
(今はやってないと思います)
キャンプ場についたら、かなり暗くなってきていました。
二組に分かれて食事とテントの用意です。
何とか真っ暗になったときには
テント、食事、キャンプファイヤーが整い、
これが青春だぜ!
この後は2日ほどキャンプ生活を楽しむ訳ですが
そこはありきたりなのでカットします。
ただ、お店やバスの運ちゃんから入ってくる
ニュースとしては、強い台風が超スローペースで
近づいてきていることと、当然のことながら
船の寄航のメドがまったく立っていないということでした。
vol.1にも書きましたが、
連れてきた大学生Eにはアルバイトが決まっていたはず・・・。
Eに「あれ、お前ディズニーランドのバイトが
あったんじゃないの?」
E「こんな状況で行かれるわけないじゃん!
クビだよ、クビっ!」
いや~スマンコってす。(;´▽`A``
島にきてから2日ほどは天気も良かったんですが
3日目から雨が激しくなってきます。
テントを張ったときは好天だったので
海沿いの眺めのいいところに張ったのが
アダとなり、テントに雨が吹きつけてきます!
ときおり、雨風が矢のように突き刺したりします。
大雨の中、テントの周りに溝を掘って地面から
雨が染みてくるのを防いだりしましたが
全然利かない!
雨が強すぎて火も起こせないので
ご飯が炊けません。缶詰・お菓子、乾き物なんか
ほとんど食べてしまっています。
「hiko、雨が小降りになったら山沿いのほうに
テントを移動しないか。木も多く繁っているから
小降りなら火もつけられるかもしれない」
「うん、そうしよう・・・」
その日、午後から小降りになってきたので
プランどおりテントを移動しようとすると
「hikoーっ!」
買出しにでていた友人が僕を呼びます。
「どうした?」
「さっき行った店の人が言ってたんだけど
山側でキャンプしてた奴らは山からの
山津波(と言っていました。つまり土砂流れ)で
張っていたテント、みんな流されちゃったんだってよ」
マジかよ・・・。
じゃ、ここにいるしかないじゃん。
見る見る食べるものがなくなっていく恐怖・・・
残っているのはインスタントラーメンが3袋くらい。
やべ~。
テントシートは雨でビシャビシャ、下もビシャビシャ。
実はこのテント生活のときの記憶がほとんどないんですよ。
雨の中で僕ら5人みんなひたすらテント内で寝てたみたいです。
夜、雨風がさらに強くなってきました。
台風が近づいているのがよーくわかります。
食事をとらずにいると
やる気もなくなってくるんですね。
相変わらずみんなで寝ていると
外から懐中電灯で照らされます。
「・・・・なんだ!?」
すると、外から
「おーい!中に誰かいるかあああっ!」
hiko「5人います!」
「待ってろ!今、島の(結婚式で使う)会館に
宿泊できるよう交渉してるからな!
がんばれ!」
hiko「はい、ありがとうございますッ!」
外の人たちは別のテントに向かいました。
「hiko、今の人たち・・・なんて言ってたの?」
僕はみんなに話を伝えると
「そうか、なーんだ(全員、笑)」
やっとテント生活から脱出できると全員、安堵。
「hikoもダメだよ~。ハイ!なんて元気に応えちゃ。
もっと死にそうな声で返事しなくちゃ。」
全員、笑い。
そうかもね。
翌朝、なんと雨がやんでいるではないですか!
もう急いで火を起こして、飯ごうでメシ炊きです。
メシがぐつぐつなると、もう食い盛りですから
飯ごうのそばから誰ひとり離れません。
そのまま、しばらく待っていると
役所の人がやってきました。
「会館での宿泊交渉が成立したので
これからお連れしますので
支度をお願いします!」
ヤッホー!!ヽ(゚◇゚ )ノ
「おい、hiko!飯ごうのメシ、どうする!?」
「いいから、飯ごうに入れたまま持って行こう!
向こうで何とか食えるようにするから!」
この炊いたメシが後で「変わった食事だ・・・」と
周りの人たちから言われる変な料理になるとは
誰も思わなかったのです。
あの時はメシより、まず宿でしたね。
助かった!と。
しかし!
宿は確保するも、帰れないのは変わらず。
そしてこのあと、今度は場所を会館内に移して
話の続きがあります。
当時はニュースでも報道された「孤立した神津島」の話の続きは
また次回。
え?まだ続くのかって。
この神津島の話だけは
完全に僕の記憶の倉庫代わりに
使っちゃいます。
次回が本当にラストです!
神津島・前浜海岸での1枚。
後ろに立つ左から二人目の男が僕(hiko)です。
この物語は、ほぼ100%実話です。
また、可笑しく書いていますが
伊豆諸島・神津島は海も空も
大変綺麗ないい島です。
ふたりの愛ランド 石川優子とチャゲ