「非公開って…」
「じゃあ書くなよって話だよな」
「トオル、とりあえずこれ意味わかんないわ」
「まあとりあえず、判定はLevel1~31まであるってことだろ?」
「ああ、んで1~10はそんな危険じゃなさそうだな。物体だし」
「ましてやLevel1なんてたぶんティッシュとかそこらへんだろwww」
「おいwww」
なんて俺らは冗談を言い合っていた。
だがしかし・・・
そんな甘い話ではなかった。
「とりあえずさっきのやつLevel1だからやってみよーぜ!」
トオルは意気揚々と俺に言う。
「もしお前、俺の時計とか無くなったら弁償しろよ」
「無いだろwwwとりあえずやってみようぜ」
「はいはい」
さっきの画面に戻り、俺はYesをタップした。
『願いを受け付けました。反映まで1~5分かかります。
Level 1相当の何かがあなたの周りから消えました』
「おおおおお……」
「とりあえず楽しみだな!これで叶わなかったら警察に訴えようぜ!」
トオルは相変わらず意気揚々としていた。
絶対に叶うはずがない。そう思っていた。
数分後、たぶん2,3分後のことだったと思う。
「お客様…こちら『ホウレン草のソテー』でございます」
黒い髪のなかなか可愛い顔立ちの店員がやってくる。
俺とトオルは顔を合わせた。
本当に来た!!驚きすぎて少し声を出してしまった。
「えーと、頼んでないですけど…」
トオルが普通の対応をする。
「あっ、申し訳ございません。………。
あの……。すいません。こういうことしてしまうと、
怒られちゃうんですが…これ、受け取ってください」
まさかだった。
本当に実現してしまった。
このアプリは、ただものではないと確信した。
トオルも驚きを隠せていないようで、茫然としていた。
「あ……はあ、はい。ありがとうございます」
「良かったら、良かったらでいいです!連絡ください!」
そういうと店員は厨房の方へ小走りで去って行った。
「おい……トオル……」
「マジかよこのアプリ…いざ叶うとなんか、不気味だし怖いわ」
さっきまでのトオルのテンションはどこかへ行っていた。
俺らは不気味な感覚に襲われていた。
とにかく、ヤバイ、と思った。いろいろな意味で。
その後は、俺とトオルは帰宅した。
アプリについてはなぜか話す気になれなかった。
本当に願いが叶い、不気味すぎるからだ。
あり得ないと思っていたのに。
俺は帰宅してもう一度アプリを起動した。
今度は、最初にでていた『ようこそ!』のような画面は出てこなく
入力欄と、入力履歴が見れるボタンがあった。
入力履歴を一応確認すると、やはり
「店員からメールアドレスをもらう DesireLevel 1」
と書かれていた。
……!!
そういえば、何かを俺は失ったはずだ。
そういう規約だったはず。
俺は部屋の中から何かが無くなっていないかチェックした。
数分、探し終えて無くなった物体が何か分かった。
「ちょっと待てよ、マジで消えてるじゃん」
それはAV、アダルトビデオだった。
俺は数本、AVを持っていたが、一本無くなっていた。
「くっそー!Level 1でこれかよ!超もったいねえ」
「しかもトオルのために一本AV消えちまったよ!!」
しかし、どうやって無くなったんだ…?
誰かが俺の部屋に侵入して奪ったのか?
そう考えると寒気がした。恐ろしくなった。
ちょっと調べてみよう!
俺はそう思い、ネットでこのアプリについて検索した。
数十分が経ち、俺はある程度のこのアプリに関する知識を身に着けた。
まず失う物の回収は専門の業者が取りにくるらしい。
俺の場合ファミレスに居たからかもしれないが、その業者と鉢合わせになっても
「ご利用ありがとうございます。DesireAppの者です」
と結構愛想が良いそうだ。
本人不在の場合は、家族または知り合いの立会のもと、
「依頼された買い取り」という名目で物を回収するらしい。
お金は後日振り込むという話になるとかなんとか。
確かに、本人以外の人物にこの件について1から話すのも手間がかかる。
それが一番良い方法だなと少し感心した。
また体験談が多く寄せられてる掲示板では
『Level 7で洋服(総額5万)が消えた!』
『Level 10でテレビ消えたわ……。』
『Level 3 でアイドルのDVD3本消えました萎えたわ』
など、いろいろな体験談が寄せられていた。
中には、ゾッとする体験談もあり
『Level 22 で愛犬が消えました。返して、返して』
『Level 24 でウサギ4匹消えた、悲しい』
など、本当にLevel 21~は思い入れのある生物が消えていくらしい。
Level 31まであるが、それは想像したくなかった。
というか、想像ができない。何が起きるのか・・・。
俺はその日は寝ることにした。
冬休みはまだ中盤である。
昼ごろに起きると、トオルからのメールがあった。
「俺もアプリいれてみたわ。
とりあえず1万円もらったけど、
その代わりに服が一着消えてたわ…」
あいつらしいなと思った。
金が大好きだからな…。
「一万ならそれよりいい服が買えるとおもって割り切れよww」
とメールを返しておいた。
俺は昼飯を軽くとったあとに、気付けばアプリを起動していた。
ちなみに文章なんて3行以上かかない俺が
深夜暇だから書いてただけだから文脈とかそこらへん甘く見てね
「願いか、そういわれると何を書いていいのかわからないな」
「とりあえずDesire Level判定だけしてみっか」
適当に願いを書き込む。
『好きな人から告白される』
と入力した。判定はLevel 10
たけーな!掲示板の情報によればテレビ一台消えるのかよ。
『アイドルと付き合う』
判定はLevel 21……。
うわぁ……。たけえ……けど俺ペットなんて飼ってないぞ?
どうなるんだ?
『朝起きると5kg痩せてる』
判定はLevel 7
案外低いな。
Levelの判定をするだけならなんともないのでちょっと楽しくなっていた。
だがしかし、『アイドルと付き合う』 のように、
Level 21いってもペットとか飼ってない場合はどうなるんだろう。
俺は疑問に思ってまた、ネットで検索した。
『Desire App 失う物が無い場合』
で検索をかけてみる。
ヒットは少ないものの、情報は確かにあった。
『俺Level22出たけど、何も無かったぞ!
ペット飼ってなかったからかな』
という情報や
『Level 23でたけど、飼ってた猫が半年前に
死んじゃってたから特に何もなかった!
ペット飼ってないヤツは
どんどんLevel 21超えちゃっても平気だぞ!』
なんという神情報。そう思った。
俺は掲示板を深くは読まずに閉じて、アプリを起動した。
この時に、ちゃんと掲示板を深く、
しっかりと読んでいればあんなことにはならなかった。
続く。
芦田愛菜 - 雨に願いを