【怖い話】あなたには見えますか? | Let's easily go!気楽に☆行こう!

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映画、写真、B級グルメ、格闘技、そして少しばかり日常を語る雑記帳です。


私は某番組制作会社で働いていて、

数年前になりますが、街中で通りすがりの人に

ドッキリを仕掛けるという番組を撮ったんです。

そのドッキリとは、まず深夜の人の少ない駅のベンチに

仕掛け人の女性が座ります。

そして空席に誰かが一人で座ったら、仕掛け人は急に

「うー、うー、苦しい・・・」

と唸り始めます。

仕掛け人にはあらかじめ青白い顔色に見えるように

メイクをしておきます。

もし「大丈夫ですか?」

と尋ねられたり、近づいてきたら

仕掛け人は表情を変えず下から覗きこむようにして

「あなた、私が見えるんですか」

と言って幽霊のふりをするというものでした。



強引なドッキリですが、駅構内はなかなか雰囲気があるらしく、

逃げ出す人やパニックになる人など、使える映像が撮れました。

やがて時間も遅くなってきたので次の人で最後にしようと決め、

仕掛け人をスタンバイさせて待機していました。

するとすぐに、サラリーマン風の中年男が一人で駅へ入ってきました。

残業終わりなのでしょうかその男はひどく疲れた様子で

ベンチにぐったりと腰掛けました。

その間も私たちはずっと離れた場所から

カメラを回しつづけていました。

ところが、仕掛け人がいっこうにドッキリを始めようとしないのです。

「これが終われば帰れるのに、あいつは何をやってるんだ。

居眠りでもしてるのか?」

とイラついた私は、仕方なく撮影を一旦中止し、

駅のホームに入って仕掛け人のもとに駆け寄り、小さな声で、

「おい、何やってんだよ。寝ているのか?」

「え?何ですか?」

ポカンとしている仕掛け人の前に立って、

私はサラリーマンを軽く指さしながら、

「何ですかじゃねーよ。人が来たら、すぐに始めてくれよ!」

「はぁ~?だって・・・まだ誰も来てないじゃないですか!」

「えっ・・・」

私がくるりと振り向いてサラリーマンを見ると、

今のやりとりの間に、その男は立ち上がっていて、

私と目が合うと、こう言いました。

「あなた、私が見えるんですね」












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※ この話はフィクションです。







※2010年10月17日の記事の再掲載です。



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