【よく考えれば】ひとつ、作り話をするよ【怖い話】 | Let's easily go!気楽に☆行こう!

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映画、写真、B級グルメ、格闘技、そして少しばかり日常を語る雑記帳です。


297 名前:1/7[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 18:43:31.96 ID:feeZWhOu0

今日はエイプリルフールだ。特にすることもなかった僕らは、

いつものように僕の部屋に集まると適当にビールを飲み始めた。


今日はエイプリルフールだったので、退屈な僕らはひとつのゲームを

思い付いた。嘘をつきながら喋る。

そしてそれを皆で聞いて酒の肴にする。

くだらないゲームだ。

だけど、そのくだらなさが良かった。


トップバッターは僕で、この夏ナンパした女が妊娠して実は今、

一児の父なんだ、という話をした。

初めて知ったのだが、嘘をついてみろ、と言われた場合、人は100%の

嘘をつくことはできない。

僕の場合、夏にナンパはしてないけど当時の彼女は妊娠したし、

一児の父ではないけれど、背中に水子は背負っている。

どいつがどんな嘘をついているかは、なかなか見抜けない。

見抜けないからこそ、楽しい。

そうやって順繰りに嘘は進み、最後の奴にバトンが回った。

そいつは、ちびり、とビールを舐めると申し訳なさそうにこう言った。

「俺はみんなみたいに器用に嘘はつけないから、ひとつ、作り話をするよ」

「なんだよそれ。趣旨と違うじゃねえか」

「まあいいから聞けよ。退屈はさせないからさ」



そう言って姿勢を正した彼は、では、と呟いて話を始めた。

僕は朝起きて気付くと、何もない白い部屋にいた。

どうしてそこにいるのか、どうやってそこまで来たのかは

全く覚えていない。

ただ、目を覚ましてみたら僕はそこにいた。

しばらく呆然としながら状況を把握できないままでいたんだけど、

急に天井のあたりから声が響いた。




301 名前:2/7[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 18:44:13.84 ID:feeZWhOu0

古いスピーカーだったんだろうね、ノイズがかった変な声だった。

声はこう言った。


『これから進む道は人生の道であり人間の業を歩む道。
 選択と苦悶と決断のみを与える。
 歩く道は多くしてひとつ、決して矛盾を歩むことなく』


って。で、そこで初めて気付いたんだけど僕の背中の側には

ドアがあったんだ。横に赤いべったりした文字で

『進め』


って書いてあった。


『3つ与えます。
ひとつ。右手のテレビを壊すこと。
ふたつ。左手の人を殺すこと。
みっつ。あなたが死ぬこと。

ひとつめを選べば、出口に近付きます。
あなたと左手の人は開放され、その代わり彼らは死にます。
ふたつめを選べば、出口に近付きます。
その代わり左手の人の道は終わりです。
みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、
あなたの道は終わりです』





304 名前:3/7[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 18:44:55.47 ID:feeZWhOu0

めちゃくちゃだよ。どれを選んでもあまりに救いがないじゃないか。

馬鹿らしい話だよ。でもその状況を馬鹿らしいなんて思うことはできなかった。

それどころか僕は恐怖でガタガタと震えた。

それくらいあそこの雰囲気は異様で、有無を言わせないものがあった。

そして僕は考えた。

どこかの見知らぬ多数の命か、すぐそばの見知らぬ一つの命か、

一番近くのよく知る命か。

進まなければ確実に死ぬ。

それは『みっつめ』の選択になるんだろうか。嫌だ。

何も分からないまま死にたくはない。

一つの命か多くの命か?そんなものは、比べるまでもない。

寝袋の脇には、大振りの鉈があった。

僕は静かに鉈を手に取ると、ゆっくり振り上げ

動かない芋虫のような寝袋に向かって鉈を振り下ろした。

ぐちゃ。鈍い音が、感覚が、伝わる。

次のドアが開いた気配はない。もう一度鉈を振るう。

ぐちゃ。顔の見えない匿名性が罪悪感を麻痺させる。

もう一度鉈を振り上げたところで、かちゃり、と音がしてドアが開いた。

右手のテレビの画面からは、色のない瞳をした餓鬼がぎょろりとした眼で

こちらを覗き返していた。

次の部屋に入ると、右手には客船の模型、左手には同じように寝袋があった。

床にはやはり紙がおちてて、

そこにはこうあった。




306 名前:4/7[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 18:45:39.66 ID:feeZWhOu0

『3つ与えます。

ひとつ。右手の客船を壊すこと。

ふたつ。左手の寝袋を燃やすこと。

みっつ。あなたが死ぬこと。

ひとつめを選べば、出口に近付きます。
あなたと左手の人は開放され、その代わり客船の乗客は死にます。

ふたつめを選べば、出口に近付きます。
その代わり左手の人の道は終わりです。

みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、
あなたの道は終わりです』


客船はただの模型だった。

普通に考えれば、これを壊したら人が死ぬなんてあり得ない。

けどその時、その紙に書いてあることは絶対に本当なんだと思った。

理由なんてないよ。ただそう思ったんだ。

僕は、寝袋の脇にあった灯油を空になるまでふりかけて、用意されて

あったマッチを擦って灯油へ放った。

ぼっ、という音がして寝袋はたちまち炎に包まれたよ。

僕は客船の前に立ち、模型をぼうっと眺めながら、鍵が開くのをまった。



308 名前:5/7[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 18:46:21.02 ID:feeZWhOu0

2分くらい経った時かな、もう時間感覚なんかはなかったけど、

人の死ぬ時間だからね 。たぶん2分くらいだろう。

かちゃ、という音がして次のドアが開いた。

左手の方がどうなっているのか、確認はしなかったし、したくなかった。

次の部屋に入ると、今度は右手に地球儀があり、左手にはまた寝袋があった。

僕は足早に紙切れを拾うと、そこにはこうあった。


『3つ与えます。

ひとつ。右手の地球儀を壊すこと。

ふたつ。左手の寝袋を撃ち抜くこと。

みっつ。あなたが死ぬこと。


ひとつめを選べば、出口に近付きます。
あなたと左手の人は開放され、その代わり世界のどこかに核が落ちます。

ふたつめを選べば、出口に近付きます。
その代わり左手の人の道は終わりです。

みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、
あなたの道は終わりです』



309 名前:6/7[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 18:47:01.56 ID:feeZWhOu0


思考や感情は、もはや完全に麻痺していた。

僕は半ば機械的に寝袋脇の拳銃を拾い撃鉄を起こすと、

すぐさま人差し指に力を込めた。

ぱん、と乾いた音がした。ぱん、ぱん、ぱん、ぱん、ぱん。

リボルバー式の拳銃は6発で空になった。初めて扱った拳銃は、

コンビニで買い物をするよりも手軽だったよ。


ドアに向かうと、鍵は既に開いていた。

何発目で寝袋が死んだのかは知りたくもなかった。

最後の部屋は何もない部屋だった。

思わず僕はえっ、と声を洩らしたけど、ここは出口なのかもしれないと

思うと少し安堵した。やっと出られる。そう思ってね。

すると再び頭の上から声が聞こえた


『最後の問い。

3人の人間とそれを除いた全世界の人間。そして、君。

殺すとしたら、何を選ぶ』


僕は何も考えることなく、黙って今来た道を指差した。

するとまた、頭の上から声がした。

『おめでとう。

君は矛盾なく道を選ぶことができた。

人生とは選択の連続であり、匿名の幸福の裏には匿名の不幸があり、
匿名の生のために匿名の死がある。
ひとつの命は地球よりも重くない。




311 名前:7/7[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 18:47:42.44 ID:feeZWhOu0

君はそれを証明した。
しかしそれは決して命の重さを否定することではない。
最後に、ひとつひとつの命がどれだけ重いのかを感じてもらう。
出口は開いた。
おめでとう。

おめでとう。』



僕はぼうっとその声を聞いて、安心したような、虚脱したような感じを受けた。

とにかく全身から一気に力が抜けて、フラフラになりながら最後のドアを開けた。

光の降り注ぐ眩しい部屋、目がくらみながら進むと、足にコツンと何かが当たった。

三つの遺影があった。

父と、母と、弟の遺影が。



これで、おしまい」





313 名前:8/8[sage] 投稿日:2007/07/29(日) 18:49:50.51 ID:feeZWhOu0

彼の話が終わった時、僕らは唾も飲み込めないくらい緊張していた。

こいつのこの話は何なんだろう。

得も言われぬ迫力は何なんだろう。

そこにいる誰もが、ぬらりとした気味の悪い感覚に囚われた。

僕は、ビールをグっと飲み干すと、勢いをつけてこう言った。

「……んな気味の悪い話はやめろよ!楽しく嘘の話をしよーぜ!

ほら、お前もやっぱり何か嘘ついてみろよ!」

そういうと彼は、口角を釣り上げただけの不気味な笑みを見せた。

その表情に、体の底から身震いするような恐怖を覚えた。

そして、口を開いた

「もう、ついたよ」

「え?」










1.
2009年04月01日 09:16
こわー……

2.
2009年04月01日 09:37
エイプリルフールにちなんでこのネタなのかしらね。
それにしても、ぞぞっとした…

3.
2009年04月01日 09:42
作り話ってのが嘘なんだな

4. VIPPERな名無しさん
2009年04月01日 09:57
これ実は2ch発のコピペじゃなくて
数年前のエイプリルフール、某ブログ管理人が書いた話なんだよな

14.
2009年04月01日 14:21
映像が頭に浮かんだ(泣)
夢見るかも。
今夜寝るのやめとくわ。


22.
2009年04月04日 11:50
これ作者肉欲だったんか。知らんかったわ。




http://2949.seesaa.net/article/15944715.html



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