Daniel Douglas Home(1833-1886)
略してD.D.ヒューム
(名前の読み方は「ホーム」より「ヒューム」のほうが
原語には近いということなので、ここでは「ヒューム」のほうで記します)
彼は、近代以降でもっとも強力な物理霊媒であり、
生涯一度もイカサマだという証拠を掴まれたことはなく、
部屋の暗さや静けさなども問題にしなかった
19世紀最高の霊能者といわれました。

彼が起こした奇跡とは、
・空中浮遊。これは特に有名で、時にはビルの窓から外に出て、
しばらく浮遊して再び窓から入って来るということも
白昼堂々と何回(百回以上)もしていたといいます。

・身長が30センチ近くも伸びる(脚や腕などもそれぞれ伸びた)
・火に手や頭を入れても平気な耐火現象。
・テーブルやソファなどの重い家具が動かす。
・叩音やさまざまな音(ラップ音)
・手が現れて出席者と握手したり品物を運んだり
楽器を演奏したりとさまざまな動作をする。
・光や火球が飛ぶ。
・部屋が地震のように激しく振動した。
・入神して(知らない言語でも)喋る。
・霊の姿を見て会話する。
・霊の全身が物質化して出席者に見られる(エクトプラズム)

空中浮遊。

エクトプラズムが出現した瞬間。
これらの怪異現象はナポレオン3世、ドイツ皇帝、
オランダ女王なども交霊会に出席して目撃。
またW.クルックス卿(※1)の研究対象にもなりました。
『※1 W.クルックス卿
英国の著名な化学者・物理学者。
「クルックス管」「クルックス線」など、
科学用語にも名を残している。
"スピリチュアリズムの迷妄を暴く"つもりで
調査を開始したが、研究するうちに真実性を確信し、
遂には支持するに到った。
F.クックの物質化現象の研究は有名である。』
これらの奇跡が、誰からもイカサマと気づかれたことが無く(!)、
いや、可能性で言えば数パーセントの確率で
トリックだったかもしれませんが・・・
大勢の前で、
また日中でも、
さらには科学者の目の前で、
これらの奇跡を披露したというのは、
もはや超能力者・霊能力者を超えて
「奇跡」と言わざるを得ないかもしれません。
なぜなら、目前で見た科学者が否定できず、
そして今となっては、否定しうる材料が
現存していないからです。
ヒュームが力を発揮し始めたのは17歳のころからだそうです。
そのころから家族たちが、テーブルが浮き上がったり、
あちらこちらの家具が動いたりしていて、その光景を見て、
ヒュームは笑ころげていたそうです。
当時はペテン師などが一攫千金を狙って
マジックなどで儲けていたそうですが
ペテン霊媒がインチキを見破られたり、
暴露されて捕まっていそうです。
しかし、ヒュームは違いました。
多くの場合は、心霊実験や交霊会は、
色々な理由(霊的メカニズム)があって薄暗くしたり、
あるいは真っ暗にしたりするものですが、
ヒュームの場合は、明るい場所を好んで現象を起こしていたようです。
それには、ホームのとても強い正義心があったようです。
「暗いところではインチキを成立させる可能性がある」
というようなことからだったそうです。
他のペテン師との違いを鮮明にして
おきたかったようです。
ヒュームは、穏やかな性格で紳士的、禁欲的でした。
傑出した人格者というわけではなかったらしいのですが、
経済的に逼迫したときにも、心霊現象を見世物にしたり、
相談に乗って直接金儲けをしたことは一度もなかったそうです。
機会があれば一般人にも現象を無料で見せていたといいます。
このあたりは「現代のD.D.ヒューム」と言っていいのか・・・
「ユリ・ゲラー」とかなり違うようです。
都市伝説 vol.16【ダニエル・ダングラス・ヒューム】 終わり
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