奥さんが気配を感じて目を覚ましました。
ふっと周囲を見回すと、
ずぶ濡れの少女が立っていました。
奥さんはとっさにそれが【生きている人】では
ないように思えました。
奥さんは目を固く閉じて念じました。
「いなくなれ!いなくなれ!」
すると少女は消えていなくなり
「気のせいだったのかな」
奥さんもホっとすると、再び眠りにつくのでした。
しばらくして
奥さんはまた気配を感じ目を覚ますと
ずぶ濡れの少女がすぐそばに立って
奥さんを見ていました。
反射的に奥さんは電気のスイッチを入れ
旦那さんのほうを振り向くと
すでに旦那さんは、起きていました。
奥さん「あなた!今そこに!」
旦那「分かってる・・・」
奥さん「あなたも見たんでしょ!」
旦那「分かってるからいいんだっ!」
奥さん「え?あの・・・何が分かってるの?」
旦那「俺の妹なんだ・・・」
奥さん「あなたに妹がいたって、今はじめて聞いたわ!
その妹さんはどうしたの?」
旦那「・・・死んだ」
奥さん「どうして死んだの!?」
旦那「子供のころ・・・風呂で死んだ」
奥さん「お風呂で?・・・どうして!」
旦那「・・・」
奥さん「あなた、何か知ってるの?」
旦那「・・・まさか死ぬとは思わなかったんだ」
テレビで語った稲川淳二さんの話しでした。

※2010年3月13日「寝室の少女」の再掲載です。
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