みたび、男と幽霊少女 8 | Let's easily go!気楽に☆行こう!

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映画、写真、B級グルメ、格闘技、そして少しばかり日常を語る雑記帳です。

翌日 日曜日

猫「にゃーん」

男「あっエリーダメだよ!部屋の中には入るなって」

猫「にゃーんにゃーん」

男「ん?」

男「幽霊さん!!」

幽霊「やぁやあ」

男「昨日はどこ行ってたんですか!?

もういつも急にいなくなるから…」

幽霊「わかんない」

男「へ?」

幽霊「わかんないの。

いつも気がつくといろんな場所にいるんだけど」

幽霊「昨日行った所は…私が生きてた頃に、

行ったことがある場所だと思う」

男「え?え?」

幽霊「あの部屋で眠ってた人…私どこかで会った…」

男「ちょっ…なに?なんか怖い!ちょっとタンマタンマ」

男「要するに」

幽霊「要してください」

男「ゴホン。幽霊さんは今までひょいといなくなることがあったけど」

幽霊「ん」

男「それは幽霊さんの意志で出かけているわけではないと」

幽霊「ん」

男「そして昨日たまたま行った場所に見覚えがあったと」

幽霊「ん」

男「…」

幽霊「…」

男「さっぱりだ」

幽霊「こんだけ説明してもさっぱりかコンニャロ」

男「それどころか僕謎を一つ発見しちゃいましたもん」

幽霊「なんだ?言ってみろコラ!

ちゃんと目ぇ見て言えよホラ!あぁ!?」

男「やめて!圧力をかけるような相づちならいらない!」

幽霊「ソーリー」

男「僕ね、この疑問は一番最初に持つべきだったと思うんですけど」

幽霊「う…なんか怖い」

男「なんで幽霊さん成仏できないでいるの」

幽霊「さあ?」

男「何か無念な死に方したとか?」

幽霊「あっそれじゃないたぶん」

男「じゃあどうやって死んだの?」

幽霊「…覚えてない」

男「うん」

幽霊「あっ…そうじゃなくて…

残してきた人達が心配で昇れないとかじゃないたぶん」

男「誰が心配なの?」

幽霊「…わかんない」

男「うん」

幽霊「じゃぁさ…歯医者の予約入れといたのに死んじゃって

行けなくなったからそれが無念で…とかじゃないたぶん」

男「覚えてる?」

幽霊「…覚えてない」

男「うん」

幽霊「じっ…じゃぁ…!」

男「もういいですもういいです」

幽霊「はぁん」

男「幽霊さん、成仏したい?」

幽霊「え?」

男「成仏、したいですか?」

幽霊「なに…何で急にそゆこと言うの」

男「だって成仏できないでいるの辛くないですか?」

幽霊「辛くないもん!そりゃあ」

幽霊「誰も私に気付かないで独りぼっちだった時は辛いけど…」

幽霊「でも今は辛くないもん!

あんたも猫太郎もいるから寂しくないもんね!ばか!」

男「幽霊さん…」

幽霊「意地悪な質問するな!バーカ!!」

男「幽霊さん、ありがとう」

男「嬉しいです。でも、幽霊さん大事なことを忘れてる」

幽霊「はて?」

男「さて。僕もエリーも、今は幽霊さんと一緒にいられます」

幽霊「猫太郎ね」

男「はいはい…でもその先は?」

幽霊「先って?」

男「僕も猫太郎も生きてます。ということは、死にます。

そうすると普通は成仏しますよね」

幽霊「…あ…」

男「ところが幽霊さんは成仏できない。

僕らが死んで天に昇ったあとも、

幽霊さんはここに残らないといけないわけです」

幽霊「…1人で…?」

男「…たぶん一人で」

幽霊「そんなぁあああああああいやぁあああああああああああ!!!!!!!」

男「落ち着いて幽霊さん落ち着いて!

エンダァアア―!の歌みたくなってるから落ち着いて!!」

幽霊「私もうあんな独りぼっちいや…」

幽霊「ずっとあんな風にこの世をさまようんなら…

死んだほうがマシ…」グスッ

男「いやまぁ死ん…ね、うん…それはもうね、アレなんだけど…」

幽霊「やっぱり成仏したい…みんなと同じところに行きたいよ」

男「うんうん、よく言った」

男「そこでですね、僕思うのですけど」

幽霊「はい」

男「普通成仏できない魂というのは

何かこの世に強い想いを持っているものです」

男「念というんですかね」

幽霊「おぉさすが霊感少年、詳しい」

男「フフフ…霊能力ボーイ僕…」

幽霊「調子乗んな早く次!話して!」

男「……」

男「ゴホン。それでは幽霊さんの念とは何なのか」

幽霊「さぁ今夜の第一問です参りましょう不思議!発見!!」

男「ボッシュート!僕が思うにそれは記憶がないことと関係してます」

幽霊「板東さんのお答えは

『記憶がないから成仏できない』ということですが」

男「ぼかぁねぇ~ゆでだまごがぼんっばに好きでねぇ…

ちょっ僕意外と似てるじゃないですかやらせないで下さいよ」

幽霊「まず顔が似てるよね」

男「声だろ!だからつまり、生前の記憶がなくてモヤモヤする!!

思い出さないと成仏できない!…っていう状態だと思うんです」

幽霊「じゃぁ、もしそうだとしたら…」

男「幽霊さんの生前の記憶を思い出すことが出来れば、たぶんですけど」

男「成仏できる」

幽霊「成仏…」

男「…怖いですか?」

幽霊「…すごい不安」

男「僕もです」

男「記憶喪失の幽霊なんて一体どうやって治していいやら」

幽霊「私頑張る!思い出せるように頑張る!!」







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