私が、英語を習い始めたのは中学に入学したときで、1年のときの英語の教師が、今思うとなんて教え方されたんだと思うほど発音がでたらめなところがあって・・・。英語は、どうしても好きになれなかった。女の先生でしたが、Bookをボークなどと言わせられていたのですから、あのときなんで受け入れちゃったんだろうと思いますが、知らないって恐ろしいです。

 日本人にとって、英語が文法も発音もスペリングもやっかいな言語であるのと同じように、欧米語の話者にとって、日本語は促音などの発音がわかりにくく、文法は異なる部分が多くて、文字数が多い、難しい言語に思われます。

 ある言語が難しいか、難しくないかという違いは、どれだけ自分の母語とかけ離れた部分が存在するか、のちがいです。
 ここで、外国人風日本語発音について、テレビのギャグなどで、いかにも中国人という風貌の人が「そうじゃないのことあるよ」なんて言って笑いをとったり、たどたどしい「外人タレント」の日本語表現が受けたりしています。

 若い大陸出身のタレントが流暢な日本語、正確な発音の日本語を話すのに、30年以上も日本で生活し、日本人と結婚したアグネス・チャンさんの日本語がいまだに中国語なまりが抜けないような発音の日本語なのはどうしてかと話題になることがあります。

 アグネス・チャンさんは、日本語を習得し始めた当時、きちんとした発音教育を受けなかったのだろうと思います。そして、アグネス・チャンさんが日本でタレントデビューしたころは、舌足らずな外人ぽい話し方が「かわいい」とされ、アグネスもそれを「ウリ」にしていた、という事情があったのではないでしょうか。そうではないにしても仕事に追われて日本語の発音矯正よりも、歌で顔が売れれば良いと言う風潮が所属事務所にあったのではないかと思います。
 発音矯正のチャンスもあったでしょうに、タレントイメージのほうを優先したので、彼女は37年間、あの発音で日本語を話し続けています。それでも一所懸命な彼女は、一時留学で芸能界を離れてから復帰してからも、日本において第一線で活躍してきました。日本ユニセフ教会の親善大使にもなっています。
 最近テレビの中で「たどたどしい日本語」だと言われたと、機会あるごとに本人は語っていました。彼女は、たどたどしい日本語を使っているわけではありません。優秀な頭脳から出される言葉、日本語の語彙も豊富で人を感動させる話術も習得していますが、発音がおかしいのです。これも、たどたどしい発音と使うのですが、舌足らずなと言ったほうが適切だと思います。彼女のことですから、今からでも日本語の発音を矯正することは可能だと思いますが・・・。

 自己流や独学で日本語を覚えた人は、どうしても母語の発音にひきずられます。
 そして最初に覚えた外国語発音が「化石化」して固まり、そのあとの教育では矯正されにくくなるのです。

 中国語話者にとって、漢字の習得には非漢字圏学習者より苦労が少ないけれど、文法と発音には努力を要する。日本語の有声音(清音)と無声音(濁音)の区別を、中国語の有気音(息を強く出す音)と、無気音(息を出さない音)の区別に代用して発音している人が多いです。

 中国で日本語教育がさかんになって以来、徹底した発音指導が行われているので、若い世代の中国人の日本語発音は、たいへん向上しています。多くは、大学や高校から日本語を習い始めた人たちですが、子供の頃から発音を練習していなくても、適切な指導を得た学習者はすばらしい発音を身につけます。だから、アグネスに続く中国からの歌手や俳優さんで日本で活躍している人たちは、日本語を流暢に発音できる人が多いです。

 日本人が英語を習う場合も、「子供の頃に覚えれば、自然に発音が身につくだろう」という考え方は間違いだと思います。何歳であろうと、適切な指導ができる教育者に出会えば、より原音に近い発音が可能です。ただし例外はあります。故美空ひばりさんは、一度聞いた英語の歌をほぼ原語に近い発音で歌うことができたという天性の持ち主でした。彼女が歌うジャズナンバーは、見事です。ただし英語が読めたり、話せたわけではないのですから、テープやレコードを何回も聞いてより完璧に歌えるようにしていたのでしょう。びっくりしてしまいます。
 私の子供はまだ言葉をしゃべれるようになる前に、英語のテープを聞かせたことがありますが、泣き出してしまいました。耳から日常入ってくる言葉ではない言葉が聞こえてきたので、言語回路が混乱して泣き出したのだと思います。小学校に上がる前には、ディズニーの英語教材である程度英語を話せるようになっていましたし、英単語も豊富になっていたのですが、小学校が1年生から英語を教えていたことから、教え方が違うからと、連れ合いがCDを聞いたり、ビデオを見るのを禁止してしまったため、結局は、学校の英語教育だけでは、英語は本格的には身につきませんでした。同じ言語を習うのに教え方が違うもくそもないので、相当連れ合いと言い争ったことを覚えています。投資して得た英語教材が、全部無駄になってしまいました。実際に東京ディズニーランドで英語のカードを見せながら並んでいたときに、インド系の方だったでしょうか、英語で話しかけられた子供は、いきなり英語の歌を歌いだしたときは笑いましたね。

 ここから原文に補足します。
 多くの人に「ジャパングリッシュ」なまりがあるのは、英語の習い始めの時に適切な発音指導を受けないまま化石化してしまったからです。英語を覚えるのに、カタカナで振り仮名を振っていたりしているのを見たことがあります。これでは話せるようになるなんて夢のまた夢なのですが、とにかく耳で聞くことです。私がかろうじて英語が好きになったのは、PPMやジョン・バエズさんの歌う歌を何度も聴くことからはじめたからでした。
 アグネスの講演にたくさんの聴衆が集まっているとこのアメーバのオフィッシャル・ブログを見るにつけ、あの発音は矯正したほうがいいなあと思ったりしています。日本語の発音は中国語とは違う発音がかなりあるのですが、、アグネスさんの発音矯正は比較的楽にできると思います。
アグネスさんが、Twitterやアメブロで書き込んでいましたので、昨年の記事をここに再掲載し、発音について再度考えてみました。