今、日本ユニセフ協会の親善大使アグネス・チャンさんが、ご夫婦で、日本からのスタッフと報道陣(NHK、共同通信、朝日新聞、毎日新聞ほか)と一緒に内戦中のソマリアを訪問しています。比較的安全だといわれているソマリランドです。暫定国家ですね。
 オフィッシャルブログで、近況報告がされています。またNHKの『地球ラジオ』で21日の夕方、電話でのアグネスさんの報告が放送されました。4分足らずですが、ソマリアの現状を知るには十分だったかな。『地球ラジオ』のホームページからストリーミングで前の放送を聴くことが出来ます。土曜日までです。ぜひ聞いてみてください。アドレスはhttp://www.nhk.or.jp/gr/radio.htmlです。21日の5時をクリックして、2/3ぐらいまで先送りして聞いてください。途中音声が途切れましたが、よく聞こえていましたし、電話越しの子供たちの賑やかな声がはっきり伝わってきていました。

 今、ソマリアでは女性が子供うちに『女性器の切除』(クリトリスの切除)が公然と行われています。女性は子供を産みさえすれば良いという考えに基いています。男女機会均等などというのは別世界の話です。それ以前に、女性への差別が公然と行われているのです。女性は学ぶ必要などないという考えが蔓延っているのも、ちょっと前の日本です。女性が生活を支えているにも拘わらず、社会進出など夢のまた夢です。この考えは、アフガニスタンの旧タリバン勢力も同じ考えを持っています。
 1990年に開催されたインター・アフリカン・コミッティ (IAC) の総会において、今後は女性器切除 (Female Genital Mutilation) という名称を用いることが決定されました。これは、「割礼」という表現がFGMの本質である性器の切除という事実を正確に伝達するものではないばかりか、むしろ、その非人道性を曖昧にしてしまう点を改善しようとするものである。現在このFGMという呼称はEUやアフリカ連合等で正式に採用されています。
 宗教やあらゆる束縛からの解放に女性たちは立ち上がろうとしていますが、イスラムの教えで、女性は顔を隠さなくてはいけないのですが、その禁を犯しただけで首を切られるということもソマリアでは起こっています。中米の「ハイチ」がそうであったように、生かさず殺さず、教育も施さずに植民地政策が行われてきた結果です。女性だけでなく、一部の裕福な人たちを除いて、教育を受けることなど出来ない上体に置かれています。そして、ソマリアを出て海外で働く人たちの『仕送り』で、ソマリアは何とか生き残っていますが、年間の国家予算をはるかに超える額の送金が、ソマリアを支えていますが、それもいつまで続くかわからない。つまり地場産業らしい産業がないのです。農業や漁業でさえ、内戦の中でその技術継承が出来ない状態に置かれてしまっています。
 持続可能な社会作り、国家作りを根本からやらなければいけないのですが、生まれたときから戦いの真っ只中に生きてきた今の20代、30代の人々は希望を見出せない状態に置かれてしまっています。
 ソマリア南部では今も内戦が続いていますが、何のために戦っているのか、相手はだれなのか、混沌とした中で、敵も見方もわからない状態だそうです。そして、この現状を放っておいて、大国はソマリアの海賊退治のために『軍艦』をソマリア沖に派遣しています。NHKラジオで『近年海賊で注目されたソマリア』と紹介していましたが、不適切だと思いました。
 日本にジャーナリズムが育っているとは思えない状況ですが、アグネスに随行していった報道関係者の報告に期待したいですね。

アグネス一行は23日まで現地に滞在し、帰国するそうです。無事に帰国されることを願っています。また、報告に期待したいと思います。