体操の第41回世界選手権第3日は15日、12年ロンドン五輪の会場となるO2(オーツー)アリーナで男子個人総合の決勝があり、昨年の北京五輪銀メダリストの内村航平(日体大)が91.500点で初優勝し、金メダルを獲得した。20歳の内村は五輪、世界選手権を通じて日本人最年少の個人総合王者となった。

 世界選手権の個人総合優勝は4年ぶりで、1970年の監物永三、74年の笠松茂、05年の冨田洋之に続き4人目。五輪では東京大会の遠藤幸雄、メキシコ、ミュンヘン両大会の加藤沢男、ロサンゼルス大会の具志堅幸司の3人が頂点に立っている。

 予選1位の内村は軽快な演技で6種目のうち4種目でトップの得点をマークする圧勝だった。2位は2.575点差のダニエル・キーティングス(英国)。初出場で24歳の田中和仁(徳洲会)は88.300点で4位だった。

 ▽内村航平 世界で一番高い位置に立って鳥肌がたった。昨年の北京五輪は銀メダルを取れるとは思わなかったが、今回は実力で取りたいと思っていた。まだ満足できる内容ではない。3年後の五輪で優勝するため、しっかりと練習したい。

 ▽日本体操協会・二木英徳会長 ロンドン五輪に向けて体操ニッポンはいいスタートを切ったと思う。しかし、(北京五輪を制した)中国は底力があり、ロンドンでも激戦が予想される。この成績に満足することなく、さらに精進してほしい。

 ▽日本選手団・塚原光男団長 よく頑張った。今後の可能性を感じる試合だった。自信が出てきたと思うが、もっと上の完ぺきな演技を目指してほしい。平行棒での失敗は五輪では許されない。

 ◇狙っていた金メダル、“日本の新エース”登場の予感

 20歳の若者がさっそうと頂点に立ち、表彰台で身震いした。「昨年は幸運だったので、実力で取りたいと思っていた」と内村。金メダルを狙い、その通りに実現したことに、日本の新エースの時代の到来を予感させた。

 ロンドンオリンピックまで今回の失敗を調整してくるのが中国の強さなので、団長が言うように平均台の失敗は致命傷になる。この失敗を勝てとして優勝した技術をさらに磨いて行ってほしい。