大阪地裁(杉田宗久裁判長)で8日午後始まった暴力団絡みの覚せい剤密輸事件の裁判員裁判で、杉田裁判長が検察側に言葉の使い方を何度も注意する場面があった。

 起訴状について「文章が硬く、裁判員が理解できない」と再朗読を促した。

 指摘を受けた検察側が、「営利目的」の意味について、「『利益を得る目的で罪を犯した』という意味です」などと説明しながら起訴状を読み上げると、杉田裁判長は「次からは文章をもっとわかりやすくしてください」と苦言を呈した。

 また検察側が「書証を読み上げます」と述べた際、杉田裁判長は「証拠書類のことですね」と言い直し、「できるだけ業界用語は使わないように」と求めていた。


 裁判員制度に採用された人たちは、法律の素人だ、法律の専門用語を使われても分からない。もっと噛み砕いた説明をすべきだ。そのために時間がかかるのは、やむをえない。

 

 榊原一夫・公判部長は閉廷後の記者会見で、「配慮したつもりだったが、従来の癖が出た。今回の経験を踏まえ、改善したい」と話した。


 起訴状は今まで法律用語で記載され、容疑者が理解していようがいまいがお構いなしだった。法律の素人が裁判に参加したことによってより身近な裁判になることを期待したいが、やっとこのことを指摘した裁判官が現れたということだろう。


 裁判員制度裁判は、いまだ冤罪に国民が加担させられる虞を払拭していない。