バラその2





先日、図書館で池田晶子の『考える日々Ⅲ』を見つけました。二巻までは読んでいましたが、三巻目はどうしてか読んでなかったようです。これは、2000年に出版された本ですが、もともと毎日新聞社のサンデー毎日に掲載されていたものです。


中身は、池田の『考える名刀』で、有名人が一刀両断で切られて行きます。小説家の島田雅彦、わけのわからない相田みつお、そして立花隆などなど、そして本質からすれば"虚の世相"であることを読者に教える意味で、ずばずばと切り捨てて行っています。


これでは、やはり"言論界"の作家を抱える出版社は商売上がったりだ!池田を排除せよ、と掛かるでしょうが"理"は池田にあり!だからどうしょうもありません。


でも、読む方にとっては痛快でたまりません。この本には池田自身が天才であることを他の人から言わさせたエピソードがあり、本人も自覚しているのですからこれもまた、良し悪しは別として驚きです。


ここに書かれている天才の条件として、足りないもののひとつに「天才は夭折する」というのがあります。もちろん例外もありますが・・・。


池田さんは今年の二月に亡くなられて享年47歳でしたが、昨今の平均寿命でいけばやはり早死にでしょう。まだやりたい仕事があったと思いますし、やって欲しかったとも思っています。残念の一言ですが、彼女が残した波紋はこれからの"善く生きようとする人"にとって、ひとつの指針となるに相違ありませ

ん。   


 by 大藪光政