魔女の隠れ家
ディクスン・カー名義の作品。
探偵はフェル博士。
アメリカ人青年ランポールはイギリスに向かう前に、彼の師メルスン教授からフェル博士に是非会うように言われています。
ランポールは道中、偶然にフェル博士に会うことができました。
ランポールはフェル博士とともに、チャーターハイムに向かうことにしました。
チャーターハイムには、通称魔女の隠れ家と呼ばれる場所があります。
魔女の隠れ家はその昔、多くの犯罪者を収容し、また処刑していた場所です。
集団コレラが蔓延し、監獄自体はその役割を失ったものの、代々スタバース家が守ってきました。
この監獄が、魔女の隠れ家といわれるのは、何も血みどろの土地だがらだけではないのです。
それは、スタバース家の人間は代々、監獄近くで首の骨を折って死んでいるという奇妙な運命にあるからなのです。
スタバース家の長男には、魔女の隠れ家に関わるある義務が課せられています。
それは、25歳の誕生日を迎えた晩、一人で監獄に赴き、長官室にある金庫をあけなくてはならないというものです。
そしてある晩、スタバース家の長男マーティンは一人監獄に向かいます。
勿論気味の悪い伝承があるため、フェル博士、ランポール、牧師ソーンダーズは、寝ずの番をして、彼の動向を見守っています。
しかし、最悪の事態は起こってしまったのです。
マーティンは、井戸の近くで首の骨を折り死んでしまったのです。
伝承のように、何かの力が作用しているのか。
もしくはマーティンは計画的に殺されたのか。
↑ この作品好きです。
ネタバレ感想
第6作目にして、ついにでてきたフェル博士。
そうなんです、まだフェル博士がチャーターハイムに住んでいたころの話なのです。
その後フェル博士は、アメリカに行って、ロンドンに行きます。
この作品は、何と言ってもオカルトちっくがたまらないのです。
代々当主は首を折って死んで、まさに今回の当主もそう。
その怖さ、たまりません。
しかも、コレラに感染している様が生生しいです。
目を閉じてもイメージできるくらい。
トリック的には、うん、まぁおかしいとこもあるけど(笑)、
ご愛嬌が通じます。
ミステリーレベルは相当高いです。
それに犯人もある意味すごく生々しいですし。
普通(何が普通か分からないですが 笑)、最後の最後犯人は自殺をするか、醜い逃亡劇を演じて逮捕されるか、罪の告白をして物語が終わるか・・・が多いのですが、そこはこの作品は違います。
情けないかな、死ぬこともできない・・・。
そこに生々しさや、人間味を感じます。
総じてこの作品は面白いです。
カー色が前面に出ていながら、そこまでおかしいトリックではないです。
一読以上に値します。