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川沿いの堤防に沿った道は街灯も少なく、周りの家から
もれるぼんやりとした明りだけが道を照らしていた。
その道沿いには、おしろい花が咲いていた。
薄暗がりの中、祖母と一緒に歩くと、そのおしろい花から
控えめな楚々とした香りが漂ってきた。
夏まつりの賑わいに疲れて帰る私にとって、その香りは
心地よくて、いつもよりもゆっくりゆっくり歩いた思い出がある。
今でも、おしろい花を見かけると、そっと近づき、目を閉じて
その香りをかぐと、あの夏祭りの夜と優しかった祖母を鮮明に思い出すことができるのだ。
好きな匂いは、おしろい花の香り。
All About「防犯」泥棒を招いた女性宅の“甘い匂い”