お手本 | 謎のこうのとり 


謎のこうのとり

私はどちらかと言えば、短気である。

「待つ」というのが苦手で、行列なんてとんでもないずら叫び

スーパーマーケットのレジも一瞬にして、どのレジの順番が早いか

並んでいる人のカゴの中をチェックして確認するし、

空港のセキュリティチェックも「いかにも初めて」という人や

チャラチャラアクセサリーをつけている人、ブーツをはいている人のあとには

並ばない。

動く歩道(正式名称はわからない)もダラダラしている人がいれば、

ふつうの通路を速足で歩くのだ。


前置きが長くなったずら。(短気のくせにねにひひ)


今日、白百合さんが謎の団体の紳士に出欠のことで電話をしていた。

電話の相手は産婦人科医でちょー多忙な先生。

夜の宴会会議に出席するため、ホテルに到着した途端、携帯が鳴り

産気づいた妊婦のために、Uターンされることもしばしば。


事務員が「少しお待ちください」、そして保留のメロディーが聞こえた音譜

電話の受話器を耳にあて、待ち続ける白百合さん。


  「長いねぇ、もう切ったら」と堪え性のない私が言うと


  「滅多につかまらない先生だから、待つわ」と毅然とした態度の白百合さん。


延々と続く保留のメロディ。

私時間では1時間ずらよ。(ホントは30分くらい)

しかし、待ち続ける白百合さん。

手がお疲れになるであろう、耳が痛くなるであろう、

さっさっと出ろよーと心で叫ぶワタクシ。


「あのぅー白百合さん、もうそろそろ・・・」と言いかけたとき


   出たー叫び


たった10秒足らずの会話であった。

なんて気長な白百合さん。

正しき事務員は、やはりあなたずら。