奈良といえば東大寺の大仏様である。
正倉院展、滅多に見られないお宝を堪能したあとは、東大寺に向かった。
「鹿がこわい」母は、一刻も早く参道を通り抜けようと、いつになく早足。
しかし、途中奈良漬の店で寄り道なんぞして、7〇年で初めて大仏様を
見た母、満足のご様子。
母の写真を撮る。
母 「写真、撮ってあげる。どれを押せばいいの?」
私 「そぉ? じゃぁお願いずら、ここね、ここをゆっくり押して」
母、デジカメをあっちゃこっちゃ動かして、なかなか撮り終らない。
母 「どうしても景色とあなたが同時にはいらない」
なんでー
母が撮った写真を確認すると、私の腹から下だけ撮れている。
これ何?
母 「あれーおかしいねぇ、ちゃんと撮ったのに」
もぉー結構ですからという私に「もう一度撮るから」と譲らない母。
撮っているところを念入りに見ていると、なんとシャッターを押す瞬間に
デジカメごと下に向けている。
それを指摘すると、「私には無理」と逆切れ。
大仏様を目の前にこの雰囲気はまずいなぁと思いつつ、本堂へ。
母、大仏様の大きさに驚き、興奮する。
「まぁー大きいわね、よく作ったわね、この時代の人ってすごいわね」
ちょっと静かにするずらよ・・・・と小さい声で言い、息子のことをお参りしていると
「まぁーお賽銭も入れないで拝むなんて、だめねぇ」と言い、財布を出している。
無視して、次の仏像の前で息子のことをお願いする。
「まぁーまたお賽銭入れてないね」とまたまた財布を出す。
大仏様はね、銭金のことなんて気にしない懐の大きいお方ずらよっ






