月曜日、高速バスで京都まで行き、JRで奈良駅に到着したのは午後2時過ぎだった。
ホテルは奈良駅直結でとても便利な立地。
部屋に荷物を置き、フロントでタクシーを呼んでもらった。
運転手「あのな、昨N〇Kで正倉院展を放送したらしいな、これも善し悪しだね
あれを見て、客が増える。なかなかゆっくり見えへんのや」
私 「あのぅぅぅ私、それを見て、今日来ました
」と小さい声で言う。
運転手 「さよか、まぁ今日は平日やから、ましとちゃいますか」
幸いなことに待ち時間なしに会場に入場できた。
しかし、人垣が幾重にもなり、ゆっくりと鑑賞できる状態ではなかった。
それでも、光明皇后自筆の「楽毅論」を見るために来たのだから
がんばって見るぞーと人垣の間をぬって、一番前でやっとこさ見ることができた。
光明皇后「楽毅論」。聖武天皇の
思ったよりも小さく、一字一字丁寧に力を抜くことなく書かれている。
真面目で、とても芯の強い、一途な性格ではないだろうかと思うような強さが筆致に表れて
いると私は感じた。
私は、学生時代この光明皇后の字をひたすら臨書した。
全紙に小さい字を自分でも驚くくらい根気よく書いたのだ。
この臨書をしている時、自分には欠けているまっすぐに突き進む
勇気みたいなものが湧いてきた。
この書がきっかけで天平時代に興味を抱くようにもなった。
私にとって、この書は特別なものだったのだ。