悔いる姉 | 謎のこうのとり 


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土曜日、いつもの英会話教室の帰り道

ケーキを買って、妹宅へ行く。


時間は午後3時30分時計

甥が今やっと起きたらしい。

いつもより背が高く感じる。

やはり寝る子は育つのだろうか。


でも、妹は「今、起きたばっかりだからよ」

う~むシラー半日でも起きていたら、縮むのかなぁと

よくわからない妹の持論に疑問をもつ。


ケーキを食べながら、世間話をする。

妹は最近悩んでいるらしい。

いや、この悩みは周期的に何度か聞いている。

職場で皆とおしゃべりしているときに

気が利いたこともしゃべれないし、

お世辞も言えない。

私がいることで皆、息が詰まるんじゃないかと

心配しているのだ。


「そんなことないよー。ずっと前からそうだったじゃない。

 まわりの人はそういう人って思っているよ。

 そして、それが普通になっているから、何にも思ってないよ」


そもそも私達、双子は生まれた時から常に一緒だった。

姉である私は妹の分までしゃべってきたのだ。

妹はそのせいで、話すことを姉に任せ、ますます話すことが

苦手となったのだ。

妹の悩みの元凶は姉である私にある。

今更、過去に戻って、私が話す機会を妹に譲ることはできない。


私は精一杯、慰めの言葉を思いつくまま並べる。

 「口は災いのもと」「物言えば唇寒し秋の風」

 「沈黙はきん


そこで妹から物言いがあった。

 「お姉ちゃん、沈黙はでしょ、やっぱりだめじゃん」

へっ叫びなんですと!? じゃなくてだよー。

妹はずっと「」だと勘違いしていたらしい。


なんともトホホなオチに涙目の妹も

大笑いしたのであった。



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