いつもの小動物の店の前で、しばし癒しの時間を取る。
もう1年以上も前から、ドブネズミのようなヤツがいる。
最初はツガイだったが、半年前から独り身になってしまった
寂しいヤツだ。
同情はするが、所詮ネズミ・・・・。
私の敵である。
怖いので、なるべく見ないようにして、他の動物に挨拶をするのだ。
しかし、この日ドブネズミは腹を上にして倒れていた。
恐々、心臓が動いているか、確認する。
微動だにしない。
私は少し後悔した。
何もこの子はドブネズミに生まれたくて生まれたのではないかも
しれない。
ひょっとしたら、前世は私が憧れるスパイだったかもしれない。
いつも無視してごめんねと心で詫びる。
店のお兄さんにドブネズミの死を伝え、ねんごろに葬ってあげてねと
お願いする。
「あれっ、おかしいなぁ」と言いながら、カゴをゆする。
むっくりと起きだしたドブネズミ。
何かくれるのかと、はしゃいでいる。
この卑怯者めが小癪に死んだフリなどしやがって