敵に塩を送る | 謎のこうのとり 

   
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日曜出勤の帰り道、疲れた足を引きずりながら

いつもの小動物の店の前で、しばし癒しの時間を取る。


もう1年以上も前から、ドブネズミのようなヤツがいる。

最初はツガイだったが、半年前から独り身になってしまった

寂しいヤツだ。


同情はするが、所詮ネズミ・・・・。

私の敵である。


怖いので、なるべく見ないようにして、他の動物に挨拶をするのだ。


しかし、この日ドブネズミは腹を上にして倒れていた。

恐々、心臓が動いているか、確認する。

微動だにしない。


私は少し後悔した。

何もこの子はドブネズミに生まれたくて生まれたのではないかも

しれない。

ひょっとしたら、前世は私が憧れるスパイだったかもしれない。

いつも無視してごめんねと心で詫びる。


店のお兄さんにドブネズミの死を伝え、ねんごろに葬ってあげてねと

お願いする。


 「あれっ、おかしいなぁ」と言いながら、カゴをゆする。


むっくりと起きだしたドブネズミ。

何かくれるのかと、はしゃいでいる。


この卑怯者めがパンチ!小癪に死んだフリなどしやがってパンチ!



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