
16歳の少女が、父の書斎で一冊の古書を見つけた。
それは、娘が生まれる前に父の運命を決定づけた本だった。そして、それはまもなく少女の人生にも影響を及ぼしはじめた。
死して語らぬ歴史上の人物の真実の姿を知るために、歴史家たちはときに命を賭けてまで謎の解明にあたる。
しかし、この世にいないはずの人物に出遭ったとき、歴史家たちは何を見るのか?
真実を知る手がかりは、ヨーロッパ各地の史跡、修道院、そして伝説……。
この本はベストセラーとなった本である。
2年前、これを読んだ。
本の中には私が望むすべての要素が凝縮されていて
読後、濃厚なスープをのんだような気持ちになった。
ヨーロッパの中世の街並みには、美しいものとは別に過去に起こった
様々な歴史の生き証人として漂う妖しげなオーラを強く感じる。
それは、どちらかと言えば暗く、冷たく、背筋が凍るような不吉なもの。
暗黒の時代、中世に流された人々の血がそうさせているのかもしれない。
親愛なる
そして不運なるわが後継者へ
きみが誰なのかは知らないが
私がここに書き記す話を
読んでいるかと思うと
私は残念でならない
これを読んで、不安になり急いで本を閉じるのか、それとも
何故残念なのかが知りたくて、読み続けるのか?
私は、もちろん読み続ける。
先が気になって、他のことが手に付かなくなるからだ。
この本には実在の人物が登場する。
15世紀半ばワラキア(ルーマニア)君主ヴラドⅢ世、
ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」のモデルとなった人。
実際のヴラドⅢ世は吸血鬼ではなかったが、「串刺し公ヴラド・ツェペシュ」と
して世に知られている。
この本を読んだ後、ドラキュラの魅力に、すっかりはまった私は
関係する本やDVDでドラキュラの世界に浸ったのであった。