小さな作業療法~其の伍~
さあさあ、お待たせしました第伍弾!!
えっ、誰も待ってない?(。・ε・。)
そんなことは言わずに宜しくです。
sumaです(*^^*)
さて、今回は一人の事例をご紹介します。
其の伍「夜のトイレ」
あ、怖い話じゃありませんから、お化けが嫌いな方も安心して読みすすめてください。
これは、一人の男性の話。
妻と息子夫婦と4人で暮らしていた。
ある時、脳梗塞に倒れて入院となった。
運よく、麻痺はほとんど出なかったが、声がうまく出せず、水でもむせるようになってしまった。
元々、家でも妻に介護してもらっていた。
朝には妻と一緒に顔を洗いに行き、
妻がご飯を作っている間に、妻が用意してくれた急須でお茶を入れるのが習慣だった。
朝の緑茶が、とても楽しみだった。
そんなクライエントのお話です。
奥さんが、熱心に介護されていました。
入院中にも、奥さんが朝7時に来院し、朝ごはんを一緒に介助する
昼も、ずっと車椅子で座っているクライエントの横に座り、同じ時間を過ごす。
夕食を介助して、7時ごろに奥さんは家に帰っていました。
さて、問題は夜に起こります。
看護師さんはいつも、朝の報告で疲弊感を顕わにしながら言います。
・ 夜勤帯は眠れていない
・ 5分置きくらいに、ナースコールを押している(一晩で計12~60回)
・ 訪室すると、トイレの時が一晩で10回前後
・ トイレでなく、手を振るだけで、何もない時も多い
それを、奥さんに伝えると「困っちゃうわ、そんなんだったら家でみられない」
夜のトイレの問題が、退院方向にも影響してしまうほどに膨れ上がってきました。
ご本人は失語があり、理解は良好ですが、言語による表出ができません。
看護師さんの意見は、夜勤帯のコールの数を何とかしてほしい
妻の意見は、夜は何とか寝てほしい
では本人は?
僕は、聞きました。
作業療法士として、正面から向き合いました。
まず何をしたか?
A4の無駄紙を四つにちぎりました。
たくさん。
そして、筆ペンで質問と選択肢を書き入れました。
そこで得られたのが、これ。
まさしく、信念対立が起きていたんです。
現状では、奥さんがオムツと考えるのも無理はありません。
しかし、ご本人は頑ななまでにオムツを拒否します。
一人で、尿器を使うから良いと。
一見、尿器は問題が解消されるように思えますが、
・ 側臥位では出しづらいとの理由から、わざわざ四つん這いになってしまう。
・ 一人ではこぼしてしまうことが多い
という問題があるわけです。
まあ、転ぶ危険が少ないとは言えますが、妻はその度に起きなければいけないので、介護負担は減っていません。
じゃあ、やっぱりオムツかな、、、
と、簡単にオムツにしないでくださいね。
ご本人に聞きましょう、なぜオムツが嫌なのかを。
それが、これです。
そして、続けて尋ねました。
我慢出来ない、とクライエントは答えました。
そこで、奥さんの気持ちを伝えました。
奥さんの、2~3回なら出来る、ということを伝えました。
ふむふむと、少し頷く様子がみられます。
そして、今度はクライエントの我慢の限界を探りました。
寝る時間の、どこでトイレに行きましょうかと。
奥さんの2~3回を汲んで、選んでいきました。
そして、出来上がったのが、これです。
クライエントと妻の信念対立が、解消された瞬間でした。
最後に、「いい」と選んでいただき、内容を了承されました。
これを看護師に即座に伝達。
コールがあったら、時間を伝え、
まだ寝ていても大丈夫ですよと声をかける。
時間になったら、ポータブルトイレに下りる。
やっと目標の共有が、出来ました。
これは、スタートラインです。
小さな作業療法~其の伍~完