40歳代の女性のくも膜下出血の患者さんが、救急搬送
されて来ました。右後頚部(後ろの首筋)の強い痛み、吐き気が
あり症状が改善しないためご主人と一緒に近くのクリニックを受診され、
クリニックの先生が本人の様子がおかしいということで救急車で
搬送していただきました。
来院時にはか意識もうろう状態で嘔吐、頭痛が続いており
頭部CTを撮影するとくも膜下出血を認めました。
検査をすると左側に脳動脈瘤を認め、緊急手術となりました。
前脈絡叢動脈(ぜんみゃくらくそうどうみゃく)という大事な血管が
動脈瘤にくっついていて、すごく厄介な動脈瘤でした。再破裂すると
生命の危険性がありさらにこの前脈絡叢動脈の血流が悪くなると、
麻痺が出現する(左側なので、右半身の麻痺が出現してしまう)
すごく大事な血管です。
何とか助けないといけないということで緊急手術を行いました。
かなりのプレッシャーがありましたが、何とかうまく動脈瘤をクリップ
できました。手術後、麻酔が覚めて手足が動いて、しっかりしゃべって
くれたことを確認してほっとしました。
ただこれからも油断はできません。今後脳血管れんしゅくという合併症
(くも膜下出血後におこる血管が細くなってくる現象)が出現してくるかも
しれません。何とかこれから2-3週間を乗り切れたらと思います。